地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年1月21日(第1767号)に掲載した、「診療報酬等のわずかなアップでは社会保障は充実しません」の前半部分です。一部修正しています。
17年12月18日、加藤厚労大臣と麻生財務大臣は、18年度の診療報酬改定率について、本体を0.55%引き上げる一方、薬価等を1.45%(薬価1.36%、材料価格0.09%)引き下げる、また薬価制度抜本改革で0.29%引き下げることに合意しました。全体では1.19%のマイナス改定になります。
ただ、「別枠」として、大型門前薬局に対する評価の適正化が、国費ベースで60億円程度と報道されており、現在検討中とされる保湿剤の給付制限・保険外しが行われるなら、実質の引き下げ幅はさらに拡大します。
細かく見ると、医科改定率は+0.63%、歯科は+0.69%、調剤報酬は+0.19%です。薬価等は、薬価が▲1.65%。内訳は、実勢価等改定で▲1.36%、薬価制度の抜本改革で▲0.29%。材料価格が▲0.09%となります。
介護報酬は、改定率+0.54%。障害者福祉サービス等報酬改定は、+0.47%となりました。
これに伴い、政府が目指していた社会保障費の自然増を1300億円圧縮する目標が「達成」されました。
診療報酬は、診察料や検査料などの「本体」部分と、薬剤費、医療材料費などで構成されます。薬剤費や医療材料費は値引き部分が収益になりますが、使用しなければこの部分の収入はゼロになります。外来の場合、診察だけで薬も注射も処置もなければ、診察料だけの収入になりますから、本体部分の引き上げがなければ医療従事者の処遇が改善するわけがありません。
17年11月に公表された、第21回医療経済実態調査によると、病院の損益差額率は、一般病院で15年度の▲3.7%から16年度は▲4.2%と赤字が拡大、精神科病院では15年度の0.2%から16年度は▲1.1%となり、赤字に転落しました。
一般病院(法人・その他)では、1施設当たり給与費総額の伸び率が2.1%増加し、給与費率が55.1%から56.0%に上昇し損益差額率が低下しています。給与費が伸びたというと一見処遇が改善したかのようにみえますが、一般病院の主な職種別1人当たり平均給与費の伸び率は、おおむねほぼ横ばいかマイナスで、給与費の増加はさまざまな職種の従事者が増加したことによる、総額の増加と考えられます(要するに人が増えただけです)。
(次回に続く)