第944回:全世代直撃の社会保障改悪(その2) 調剤報酬の見直しについて(上)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2017年12月17日(第1764号)に掲載した、「調剤報酬の見直しについて」の前半部分です。一部修正しています。

18年4月は、「トリプル改定」、医療における診療報酬、介護における介護報酬、障害者福祉サービスの3分野の改定の時です。

診療報酬は中医協(中央社会保険医療協議会)で、介護報酬は社会保障審議会 (介護給付費分科会)で、検討が行われます。しかし、今回は、内閣支持率の極端な低下を背景に、いわゆる「もり・かけ」疑惑隠しを目的とした、安倍首相の臨時国会冒頭解散のため、審議がきちんと行われませんでした。

中医協の議論は、9月までは月2回、10月は週1回で行われましたが、選挙が終わった10/25からは週2回のペースで開催されています。

介護給付費分科会は、もともと月2回のペースで開催されていましたが、安倍首相の総選挙実施の決断に合わせ、9/20の会議を9/13に変更した後、中断となりました。今回の改定では介護報酬が大幅に引き下げる議論が行われていましたから、選挙に不利になるためではないかと考えられていました。選挙後は、10/25、26、27と異例の3日間連続開催となり、11月からは週1回のペースで行われています。

さて、まず、診療報酬の議論です。

今回の焦点の一つは調剤報酬、薬剤に関わる報酬です。

江戸時代までは、日本では薬の調剤は医師の仕事で薬剤師は存在していませんでした。近代化を進める明治政府は、医療分野ではドイツの制度を導入し、医療に関する総合的な制度を定めた、「医制」を1874年(明治7年)に公布しました。その中で、こう記しました(日本薬剤師会のHPより引用)。

「医師タル者ハ自ラ薬ヲ鬻(ヒサ)クコトヲ禁ス 医師ハ処方書ヲ病家ニ附与シ相当ノ診察料ヲ受クヘシ」

「調薬ハ薬舗主薬舗手代及ヒ薬舗見習ニ非サレハ之ヲ許サス」

「処方書」は処方箋(しょほうせん)、「病家」は患者さんのことで、処方箋を出して診察料を受け取るという今日では当たり前の医師の姿が、あるべき姿として描かれています。「薬舗主」は薬剤師で、1889(明治22)年の『薬律』制定とともに、本格的な薬事制度が導入され、薬局、薬剤師の呼称が用いられるようになります。

(次号に続く)