第925回:「負担の公平化」について考える(その5)

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年9月17日号(第1755号)に掲載した、「負担の公平化」について考える(その3)の前半部分です。

これまで、「公平な負担」について触れてきました。今回は、「医療と介護の公平化」「入院と在宅の公平化」について考えてみます。

前回(10月6日付・10月17日付本欄)述べたように、15年8月から、65歳以上の第1号被保険者の上位2割にあたる「相対的に負担能力の高い人」、原則として本人の年間合計所得金額が160万円以上の人が、「一定以上の所得」のある方として、介護保険の利用料が2割負担の対象となりましたが、その影響を調査することなく18年8月からは3割負担に引き上げられます。

「医療と介護の公平化」とは、介護保険の利用料は医療保険の自己負担と比べて負担割合が軽いので、医療保険に合わせて負担を重くする、という意味で、負担が重い方に合わせたことになります。

医療保険の自己負担で見ると、入院時の自己負担について、「入院医療と在宅医療の公平」という名目で(家でも病院でも食事はするからという意味です)、食事代の負担が引き上げられます。

そもそも、「医療上の必要性から入院しており、病院での食事・居住サービスは、入院している患者の病状に応じ、医学的管理の下に保障する必要がある」という理由で、食費・居住費については保険給付の対象とされていました。

食事代についても、入院すれば食事するのは当然だし、疾病によっては医学的に適切な食事を提供する必要があることより「入院時基本診療料の一部(給食加算)として評価」されていました。1972年からは、さらにきちんと評価する意味で、「入院時基本診療料とは別に、給食料を新設」することになったものです。

この流れが変わったのが、1994年に導入された、入院時食事療養費制度です。「入院時の食費は、保険給付の対象としつつ、在宅と入院の費用負担の公平化の観点から、在宅と入院双方にかかる費用として、食材料費相当額を自己負担化」することになりました。同時に、「患者側のコスト負担意識を高めることによる、食事の質向上の効果も期待」されるとしています。

(次号に続く)