地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年8月13日号に掲載した、「負担の公平化」について考える(その2)の前半部分です。
「公平な負担」のうち、「世代間・世代内の公平」について触れます。
まず、介護保険利用料の自己負担についてです。2000年の介護保険制度発足以来、利用料は所得に関わらず1割負担でした。
ところが、2014年6月に、医療法や介護保険法などの19の法律を改正する、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)が成立し、翌15年の介護保険改正により、介護保険がスタートしてから初めて「利用者が支払う介護サービスへの自己負担の割合」が所得により変更されることになりました。
その背景は、13年8月6日に「社会保障制度改革国民会議」が出した「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」の中にあります。「すべての世代を対象とし、すべての世代が相互に支え合う仕組み」として、以下のように述べました。
・世代間の公平だけではなく、世代内の公平も重要であり、特に他の年代と比較して格差の大きい高齢者については、一律横並びに対応するのではなく、負担能力に応じて社会保障財源に貢献してもらうことが必要である。
・このような観点から、これまでの「年齢別」から「負担能力別」に負担の在り方を切り替え、社会保障・税番号制度も活用し、資産を含め負担能力に応じて負担する仕組みとしていくべきである。
つまり、高齢者は資産や収入に格差が大きく、高齢者世代内の格差が他世代よりも大きいため、「世代内の公平性」を保つために「資産を含め負担能力に応じて負担する仕組みとしていくべき」と述べられています。
それなら、株で大儲けをしていたり巨額の資産を持っている人は現在より負担を増やし、所得が少ない人は現在より負担を軽減するのが筋だと思いますが、そうではありません(注)。
注:近藤克則・千葉大教授によれば、「お金持ちの特徴は、要介護状態も少ない」「要介護者は高所得者に比べ低所得者で5倍も多い」のが、実際です。(「健康格差社会」を生き抜く,朝日新聞出版,2010年1月)
(次号に続く)