第903回:「経済・財政再生計画」にみる患者利用者負担増(その3)

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年4月16日号(第1740号)に掲載した、「経済・財政再生計画」にみる患者利用者負担増(2)、の前半を再掲します。

第887回(5月23日付)・第889回(5月30日付)で、2015年12月の経済財政諮問会議で決定された「経済・財政再生計画 改革工程表」に基づき、2017年度予算が作られたことを述べました。

そのうち、2017年度予算に反映した内容について少し詳しく触れます。

まず、70歳以上の患者負担上限額の引き上げです。

  1. 年収約370万円以上(月収約31万円以上)の場合、69歳以下に合わせて、大幅に引き上げます。現在、外来受診の医療費の月額限度額は4万4400円ですが、17年8月から5万7600円となり、18年8月からは、69歳以下と同じ扱いになり、年収が約370万円~約770万円なら、8万100円+1%(※)になります(年収が約770万円以上の場合は省略)。
  2. 住民税非課税~年収約370万円の場合、外来医療費の限度額が、現行1万2000円が、17年8月からは1万4000円、18年8月からは1万8000円になります。毎月限度額いっぱいを支払えば、年間では17年8月からは16万8000円、18年8月からは21万6000円になりますが、これは、年間上限額が設定され、14万4000円になります。

このほか、同一世帯で同一保険の場合、世帯単位の限度額があり、過去12ヵ月に3回以上限度額を超えた場合の4回目以降の限度額を引き下げる多数回該当という制度もありますが、ここでは、省略します。

※1%とは、1ヶ月の医療費から26.7万円を引いた額の1%、という意味です。1ヶ月の医療費が100万円なら、(100万-26.7万)×1%=7330円になりますから、8万100円+7300円=8万7430円、ということになります。

(次回に続く)