2月28日付本欄(第867回)で、2017年5月に自治体から事業者に送付される、住民税額を記した「特別徴収税額決定通知書」にマイナンバー記載欄を追加する省令を発出したことを取り上げました。小事業者ではマイナンバーの管理が困難であり、多くの自治体で「普通郵便」で送付されるためマイナンバーの漏えいの危険を指摘し、この省令を撤回すべきであると主張しました。
この間、この指摘通りにマイナンバーの漏えいが全国で多発したことが明らかになりました。
「千葉日報」5月25日付は「千葉市は24日、氏名や住所、マイナンバー、収入額などが記載された本年度の『個人市・県民税特別徴収税額決定通知書』を誤った宛先に送付し、計9人分の特定個人情報が流出したと発表した」と報じました。
「神奈川新聞」6月3日付は、「川崎市は2日、2017年度の個人市民税・県民特別徴収税額決定通知書について、計7事業者8人分で誤送付があり、通知書に記載されたマイナンバー制度の個人番号などの情報漏えいが発生したと発表した」と報じられました。
これ以外にも(地方紙名、日付は略します)、以下のように、全国各地で同様の事例が報告されています。
- 神奈川県横浜市:4事業者9人分
- 愛知県名張市 2事業所2件
- 栃木県宇都宮市 3事業所5人分
- 北海道内7市町村11事業所26人
「しんぶん赤旗」によれば、7月11日までに「少なくとも97自治体で計600人分の通知書で誤送付などのミスが発生し、その一部でマイナンバーが漏えいした」とされます。
多くの団体から漏えいの危険を指摘されながら、送付を強行した総務省の責任が問われるところです。