第890回:日本の表現の自由についての調査結果をまとめた報告書からみる「共謀罪」

国連の人権理事会の特別報告者である、表現の自由を担当するカリフォルニア大学教授のデービッド・ケイ氏が5月30日、「日本の表現の自由についての調査結果」をまとめた報告書を公表しました

国連の人権理事会は外部の専門家を特別報告者に任命しており、日本の表現の自由についての報告書をまとめ、法律を改正してメディアの独立性を強化すべきだなどと勧告したものです。

ケイ氏は「日本ではメディアに対し、政府当局者からの直接的、間接的な圧力がある」などとしたうえで、日本の民主主義をさらに強化するためだとして、6つの分野で勧告、「メディアの独立性を強化するため、政府が干渉できないよう法律を改正すべき」として、放送法を一部見直すことなどを求めたほか、「慰安婦問題などでは、歴史の自由な解釈が行われるよう、政府が教科書の内容などに干渉するのを慎むべきだ」としています。

また、特定秘密保護法については、「安全保障の支障とならないかぎり、公共の利益にかなう情報を広めた人が処罰されないよう、新たな規定を盛り込むべきだ」としています。

この指摘に対し、日本政府は「事実の誤認や不確かな情報に基づいて勧告している」と強く非難し、報告書の内容を見直すよう求める文書を人権理事会に提出しました。

日本は、人権理事会の理事国を務めていますが、理事国を選挙する際に「国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)や特別手続の役割を重視」「特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため,今後もしっかりと協力していく」と、いわば国際公約を行っています。

この観点からも、内心の自由に罪を問う「共謀罪」は速やかに廃案にすべきです。