第877回:内心の自由を侵害する「共謀罪」に反対し、廃案を強く望むものです

いわゆる「共謀罪」にあたる法案が、国会に提出されました。私は、医療福祉生協連代表理事会長理事として、以下の声明を発出しましたので、紹介します。

会長理事声明

2017 年4月6日

「共謀罪」法案国会審議開始に当たって
~徹底審議によって廃案に~

日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 藤原 高明

いわゆる「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案が、野党の反対を押し切る形で今日から衆議院本会議で審議入りすることになりました。過去3回法案が提出されましたが、いずれも内心の自由を侵すおそれのあることが指摘され、廃案となったものです。

日本の刑事法は、犯罪については具体的な行動や結果を処罰するのが原則です。それに対して、行動や結果を伴わず「仲間どうしで話し合った」ことを罪に問うのが「共謀罪」です。今回の法案提出に際して政府は、「共謀罪」に代わって「テロ等準備罪」という呼び名を付け、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」を対象に、犯罪を実行する合意だけでなく「準備行為」が行われた場合に処罰するものであることを説明し、「かつての『共謀罪』とは別物」としています。

「テロ等準備罪」をめぐっては、既に法案提出前から国会で議論が交わされ、「仲間同士で相談した」ことを罪に問う本質は「共謀罪」と変わらないのではないか、罪が成り立つ要件とされる「準備行為」は捜査機関によって拡大解釈される恐れはないのか、一般市民が監視されるのではないか等、多くの疑問や懸念が明らかになっています。犯罪を計画したメンバーのうち誰か一人が準備行為をすれば全員が捜査対象となるとされ、メールや無料通信アプリなどで連絡を取り合っている場合も「共謀」の仲間とされるなど、準備行為を直接行っていない人も処罰されることも指摘されています。国際組織犯罪防止条約に入るために「共謀罪」が必要と政府は説明しますが、日本弁護士連合会などは日本にも重大な罪を中心に既に予備罪、準備罪があり、「共謀罪を設ける必要はない」との見解を表明しています。

組織的犯罪処罰法改正案は、その目的・内容に多くの疑義があります。人々の内心や思想を監視し刑罰を科すことになりかねず、日本国憲法に抵触する恐れのあるこの法案は、国会で十分な審議を行い廃案にすることが求められるものです。全国の会員生協の皆さん、学び・広げ・連帯しましょう。

以上