第874回:15年4月に行われた介護報酬引き下げの悪影響が明らかになりました(その2)

2015年4月の介護報酬の改定は2.27%の引き下げでしたが、特別養護老人ホームの基本報酬は5.6%から6.3%のマイナス、8月からは改定前の10.7から13.7%のマイナスとなりました。看取り介護や介護福祉士の配置の加算、重度者の受け入れによる加算などがあるものの全体としてはマイナス改定でした。

また、特養の入所基準を原則要介護3以上とする、2015年8月からは、住民税非課税の低所得者対策の補足給付(食費や居住費の軽減措置)を、預貯金や配偶者の収入も勘案し補足給付を認めないなどの制度の変更を行いました。

その影響が、前回触れた、経済的な理由での退所の続出でした。

3月6日に、厚生労働省老人保健健康増進等事業を委託している、みずほ情報総研が、特別養護老人ホームの開設・運営状況に関する調査報告会を開きました。その中で、13.5%の施設が「職員不足」や「医療的ケアに対応できない」を理由に空きベッドがあると答えました。利用者が入院したり亡くなったり、緊急対応目的も含めて空きベッドがあると回答したのは、昨年11月時点で対象施設の4分の1にあたる143施設。空きの理由について「申込者が少ない」とした施設が9.8%ありました。

また、27日の報道によれば、厚生労働省が全国の都道府県を通じて調査したところ、16年4月の時点で特別養護老人ホームへの入所を希望している高齢者は、およそ36.6万人だったことがわかりました。これは4年前の52.4万人から15.8万人減少したことになります。

入所を希望している36.6万人のうち、認知症などの特例の基準を満たし、入所を希望している要介護1と2の高齢者はおよそ7.1万人ですが、自治体によっては人数を把握できていない場合もあるということです。

入所の条件を切り下げておいて希望者が減ったというのは、あまりにご都合主義と言わざるを得ません。速やかに入所基準の改悪を元に戻し、必要な介護報酬の引き上げを行うべきです。