第19回APHCO(アジア・太平洋地域保健協同組合協議会)理事会の報告です。各国からの報告(カントリー・リポート)のうち、マレーシア医師協同組合のサイード先生の報告の一部です(前回の続きです)。
Koperasi Doktor Malaysia(KDM)はマレーシアの医師協同組合で、1988年に設立されました。主な目的は、医療の質を向上させるために政府を支援することと、個人開業の医師の福利厚生を改善することです。
マレーシアでは今も大半の人々が、総合病院や地区病院、総合診療所、保健所で医療や治療を受けています。政府は、比較的貧しい都市部や農村部に「1マレーシア・クリニック」と呼ばれる治療センターを設立し、これらの取り組みにより、無料または大幅に助成された金額で医療を提供できています。
しかし、これらの医療サービスは非常にコストがかかり、最近は経済が停滞しているため特に厳しい状況です。自費払いの患者コストを抑えるのに役立つよう、KDMでは数年前に「KDMファーマ」を立ち上げました。できるだけ低価格で個人開業の組合員や非組合員医師に販売することで、患者が手頃な価格で治療を受けられるようになることです。
マレーシアの保健省は、KDM Berhad(公開会社) とそのパートナーである会社に対し、外国人労働者の健康診断を管理する権利を与えました。外国人労働者の流入により、これまで地元住民の間でコントロールされてきた感染症(例:肺結核、ポリオ、マラリア、HIVなど)が再発する可能性があります。
マレーシアの人口が増加し、また世界経済にひずみが出ている中、政府としては人口増加と無料医療サービスの提供におけるコスト増大という課題に直面しています。このようなモデルは持続不可能であり、政府は医療提供制度を見直す必要があるとともに、医療財政の体制(医療保険)を導入する可能性があります。そしてその時が来たならば、協同病院が明白な解決策である、と確信しています。