第824回:2018年介護保険制度見直しについて(その3)

第61回社会保障審議会介護保険部会で、費用負担(総報酬割・調整交付金等)が提案されました。介護保険で40~64歳が負担する第2号保険料の計算方法を見直し、収入に応じた「総報酬割」を導入することが提案されました。

介護保険財政は、保険料50%、公費50%で成り立っています。保険料は65歳以上の第1号保険料が22%(2.1兆円)、40歳から64歳までの第2号保険料が28%(2.7兆円)で成り立っています(ごく一部に公費が充当されていますが)。2号保険料(40歳~64歳)は、収入の額が基準ではなく、保険加入者数で頭割りされていますから、給与水準が低い中小企業の労働者の負担が比較的重くなっています。

厚労省の提案は、報酬額に対する保険料の割合を同一にするというものです。現行は、協会けんぽは1.95%、健保組合は1.35%、共済は1.09%ですが、これをすべて1.54%に統一するというものです。この制度を全面的に導入すると、大企業の従業員や公務員1,272万人の負担が増え、中小企業を中心に1,653万人は負担軽減になる一方、国が財政支援のために行っている国庫補助1,450億円が不要になると説明しました。

厚労省の試算では、総報酬割の全面導入により、健保組合の加入者は労使合計で保険料が月平均727円増の5,852円になります。公務員らの共済組合も1,972円増の7,097円。一方、協会けんぽ加入の中小企業などでは241円減の4,043円となります。

労働者間の「不公平」を改善するという名目で、結局、国の負担をなくするということに他なりません。