第821回:高薬価の薬剤とTPP(その2)

高薬価の問題ではC型肝炎の治療薬がずいぶん話題になりました。

最近の薬剤は、以前のC型肝炎の治療薬に比べて副作用が少なく、効果も高く治療期間も12週間で済むという特徴があります。といっても薬価が高いのは事実で、ソホスブビルは1錠61,799円で、12週間投与すると薬剤費だけで約519万になりました。レジパスビル/ソホスブビルの配合薬は1錠80,171円で、12週で約670万円でした。

この4月の薬価改定で、年間販売額が1500億円超かつ予想販売額の1.3倍以上となる製品は最大50%引き下げる「特例拡大再算定」制度ができました。表現は悪いですが「バカ売れしたら安くする」制度です。これにより、ソホスブビルは、1錠61.799円から42,239円になり12週投与時の薬剤費は、約519万から約355万円に引き下げられました。また、レジパスビル/ソホスブビルの配合薬は、1錠80,171円から54,796円に引き下げられ、12週投与時の薬剤費は約670万円から約460万円になりました。

これまでのように1年間や1年半治療をするわけではないので、総医療費という点ではどうかという意見があるでしょうが、薬価が高いという事実には変わりありません。ここにTPPの問題が絡んできます。

いまは、中央社会保険医療協議会で審議を行うし、超高価な薬剤の使用が増えたら薬価を引き下げる仕組みがありますが、TPPを批准したら米国の企業や国際企業が、「自社の利益を損なう制度」として、日本の薬価制度を訴える可能性もあります。そうなったら、事実上皆保険制度が成り立たなくなります。

高すぎる薬価、TPPなど、大いに医療界から問題にしないといけません。