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地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2016年5月15日号(第17074号)に掲載した「社会保障はどうなるか(5) 診療報酬改定に見るこれからの医療(1)」です。

医療費の「定価」にあたる、医科・歯科の診療報酬が4月1日から改定されました。診療報酬は2年に1回改定されます。一方、介護保険の「定価」である介護報酬は昨年4月に改定されており、こちらは3年に1回改定されます。

従って、2年後の2018年には、診療報酬と介護報酬の同時改定が行われ、相当大規模な改定が予想されます。また、この間、今後の医療・介護のありかたを根本的に変える「医療・介護総合推進法」(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための 関係法律の整備等に関する法律)や、その関連法の施行により制度の変更が行われています。

今回の改定は、そういった大きな制度改変の中で、それを準備する内容が含まれています。しばらく診療報酬の改定内容を解説しながら、その意味について考えていきたいと思います。

さて、高齢化が進んで医療費が大変だ、社会保障の財源をつくるために消費税増税が必要なので5%から8%に引き上げたのだと言いながら、今回の診療報酬の改定はマイナス改定でした。これまでの改定では、薬の値段である「薬価」の引き下げを一定の財源として、医師の技術料等にあたる「本体」部分の一定程度の引き上げに充ててきましたが、2014年改定からは、薬価引き下げと本体財源とは切り離すことになりました。

改定率は全体でマイナス1.44%です。本体部分はプラス0.49%、額にすると498億円とされます。薬価と材料費を合わせるとマイナス1.33%ですが、それ以外に「外枠」として、引き下げが行われています。

外枠1として、これまでは「薬価引き下げ」として発表されていた市場拡大再算定分(予想以上に販売額が大きいもの、表現は悪いですが「バカ売れ」したもの)がマイナス0.19%です。外枠2として、4月号で触れた特例拡大再算定(年間販売額が1500億円超かつ予想販売額の1.3倍以上となる製品は、最大50%引き下げる)制度によるものがマイナス0.28%です。これ以外に外枠3として、湿布薬の枚数制限や、入院患者の食事として提供される経腸栄養製品の見直しなどがあり、マイナス0.13%で、これらの総計は2000億円近くになり、医療費本体の引き上げはまだまだ可能だということになります。

診療報酬本体が引き上げになったからと言って、すべての医療機関の収入が増えるわけではありません。引き上げになる項目もあれば、引き下げになる項目もあるので、医療機関によって異なるのが実際です。在宅医療重視といいながら、3月までと比べて4月の収入が減ることもあります。

例えば、医療機関が計画的に患者宅(施設)を訪問して診療を行う「訪問診療」を在宅患者に対して月に2回以上行うと、3月までは在宅時医学総合管理料を4,200点算定できました(※)。4月からは、末期の悪性腫瘍、難病法に規定された指定難病、真皮を越える褥瘡(相当深い褥瘡です)患者や、在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、気管切開、留置カテーテルなどの「別に定める患者」は4,600点とアップしましたが、それ以外の場合は3,800点に下げられています。相当重度の患者を中心にみている医療機関以外は減収になると思われます。

次回から詳しく見ていきます。

※強化型ではない在宅療養支援診療所で、院外処方箋を発行する場合の例です。マンションなどの集合住宅で、同一月に複数算定する場合は、点数が異なります。