第779回:病床機能報告制度と地域医療構想(下)

地方政治新聞「民主香川」に、「史上最悪の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障改悪の内容を連載しています。2015年12月20日号(第1692号)に掲載した、「第11回 病床機能報告制度と地域医療構想(下)」で、一部修正しています。

2015年11月13日に、第2回香川県地域医療構想策定検討会(注)が開催されました。

香川県では第2次保健医療圏として、高松市・木田郡・香川郡からなる「高松」、さぬき市・東かがわ市からなる「大川」、丸亀市・坂出市・善通寺市・綾歌郡・仲多度郡からなる「中讃」、三豊市・観音寺市からなる「西讃」、小豆郡からなる「小豆」の5つが設定されています。

原則として、医療圏ごとに「必要病床」が設定されることになっていますが、香川県のように狭く、かつ道路の整備が進んでいる地域では、上記の5つの医療圏ごとに「必要病床」を決めるというのは現実に合っていません。

例えば、三豊市や観音寺市から、小児患者が善通寺市にある小児専門病院である「四国こどもとおとなの医療センター」を受診することはよくあることです。重症患者や希少疾患などで専門医が高松圏域にしかいない場合は、全県から県立中央病院や香川大学病院に患者がやってきます。

ですから、患者の「居住地」の範囲で「必要病床」を設定することにはかなり無理があります。

今回の地域医療構想策定検討会では、「地域医療構想策定ガイドラインにおいて、構想区域の設定に当たっては、二次医療圏を原則としつつ、人口規模、患者の受療動向、疾病構造の変化、基幹病院までのアクセス時間等の変化など将来における要素を勘案して検討することとされている。本県においては、以下の状況を踏まえ、現行の二次保健医療圏のうち、大川保健医療圏と高松保健医療圏を合わせて東部構想区域、中讃保健医療圏と三豊保健医療圏を合わせて西部構想区域、小豆保健医療圏を小豆構想区域とし、3つの構想区域を設定することとしたい」としています。

小豆郡は、「島」という特殊性があるので特別に考える必要がありますが、とりあえず「小豆」を除き2つの医療圏に分けたとしても、愛媛県(宇摩)から香川県(三豊)へ患者の「流入」(高度急性期11人/日、急性期31人/日、回復期18人/日)が見られる、香川県(高松)から岡山県(県南東部)にへ患者の「流出」(急性期11人/日、回復期12人/日)がみられると、「検討会」では指摘されています。

杓子定規に「医療需要」を定め、「必要病床」を定めることにはかなり無理があることを示しています。現実に合った医療「需要」、「必要病床」を検討し、フレキシブルな対応が必要です。

注:下記のHPを参照ください。
http://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir1/dir1_5/dir1_5_1/wghdsu151115081950.shtml