第775回:診療報酬はプラス改定にすべきです

香川県保険医協会の会報の15年12月号の主張欄に掲載した、4月に行われる診療報酬改定に関する文章を紹介します。一部修正しています。

中医協(中央社会保険医療協議会)は、16改定に向け週2回のペースで開催されています。15年12月9日には「診療報酬改定の基本方針」を明らかにし、12月11日には審議結果について厚労相に上申しました。

15年6月30日に閣議決定した「骨太方針2015」の中で、20年度に「財政健全化」目標を達成するため「歳出改革の重点分野」に位置付けた社会保障の削減の第一歩となる、マイナス改定の方針を明らかにしました。

一方、多くの医療団体は、診療報酬のマイナス改定に反対しています。

11月19日には保団連などで構成される医療団体連絡会議は「診療報酬のプラス改定を求める緊急行動」を開催しました。11月27日に開催された日本臨床外科学会の「医療と消費税」をテーマとする討論会の最後に、学会長が「これ以上の医療費抑制政策はとるべきではない」と、提言しました。

12月9日には日本医師会など医療・介護・福祉関係の40団体でつくる国民医療推進協議会が「国民医療を守るための総決起大会」を開催、「プラス改定」を求めています。

中医協の議論も、現行診療報酬の引下げが基調となっています。

11月4日の中医協総会では、第20回医療経済実態調査の結果が示されました。今回は、平均値とともに最頻値が示され、平均値と最頻値の間に大きな開きがあることが明らかになりました。入院を含む一般診療所全体の医業収益の伸び率は、平均値で▲0.2%、最頻値では▲1.5%でした。

物品や薬剤の購入高の多い病院は消費税負担が大きい訳ですが、病床規模に関わらず赤字が継続しています。国公立や医療法人を含む一般病院全体の損益差額率は▲1.7%から▲3.1%に拡大しています。

政府は、技術料などを0.49%引き上げる一方、薬の価格と医療器具の材料費を合わせて1.33%引き下げ、診療報酬は8年ぶりに引き下げられると報じられています。技術料があがれば医療機関の経営が改善する訳ではありません。診療報酬全体の引き上げがなければ経営は改善しません。

診療報酬は実質マイナス改定となりますが、プラス改定を求める現場の声をあげていく必要があります。