第766回:医療保険制度改革法の全体像

香川県保険医協会報の「社保のコーナー」に、医療保険制度改革法に関する連載を行っています。これまで掲載した記事と重複するところが多いのですが、せっかく書いた原稿なので、再利用することにします。

2015年8月号掲載分です

2015年5月27日に「医療保険制度改革法」が成立しました。正式には「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」ですが、5本の法案をまとめた一括法で、細かなことは後日決定することが多いという内容で、よくわからないところがあります。

医療・介護がどう変わっていこうとしているのか、数回にわけて連載していきたいと思います。法案の正式名は長いので、略称を使用します。

今回の「医療保険制度改革法」の対象となった内容は以下の通りです。

・現在市町村単位で個別に運営されている国民健康保険制度を、18年度から都道府県単位で財政運営を行う。具体的には、国保基盤協議会などで議論する。

・高齢者医療保険制度への「支援金」を全面的に「総報酬制」とし、報酬水準の低い健保組合や協会けんぽの負担を減らす。

・協会けんぽへの国庫補助割合を検討する。

・医療費適正化計画の見直しを行う。

・入院時食事療養費の引上げを行う

・紹介状なしで大病院を受診(初診)する際、5,000円から10,000円の自己負担を課する定額負担制度を導入する。具体的には中医協(中央社会保険医療協議会)で議論する。

・所得水準の高い国保組合への国庫補助金を削減する。

・後期高齢者保険制度導入時に激変緩和措置として行った、後期高齢者保険料軽減特例を段階的に中止する。

・標準報酬月額の上限額を引き上げ、保険料の引き上げをはかる。

・患者申出療養制度を創設する。具体的には中医協で議論する。

上記のように、大まかな枠組みは決まっていますが、細部にわたる内容はこれから決まっていきます。