地方政治新聞「民主香川」に、「史上最悪の社会保障改悪」というタイトルで、医療・福祉の改悪の内容を連載しています。2015年7月19日号(第1677号)に掲載した、「第6回 高騰し払いきれない介護保険料を考える」で、一部修正しています。
本欄第737回(7月28日付)で「00年度から14年度にかけて、65歳以上の介護保険料は1.7倍に上昇」「15年度からはさらに大幅な引き上げがあり、6,000円を超える自治体もでてきました」と述べました。
4月28日、厚労省が公表した「第6期計画期間・平成37年度等における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」の中で、各自治体の2015年4月からの保険料を明らかにしました。
介護保険制度は、2000年4月から開始されました。00年度から02年度が第1期、03年度から05年度が第2期、06年度から08年度が第3期、09年度から11年度から第4期、12年度から14年度が第5期、15年度からの3年間が第6期になります。
平均的な介護保険料(※)は、1期が2,911円、2期3,293円、3期4,090円、4期4,160円、5期4,972円、6期5,514円で、今年からの保険料は第1期(介護保険開始時)の1.89倍になったことになります-
保険料が低いのは、鹿児島県の三島村で2,800円、北海道の音威子府村の3,000円、中札内村の3,100円、福島県の檜枝岐村の3,340円などです。一方、高いのは奈良県の天川村の8,686円、福島県の飯館村の8,003円、奈良県の黒滝村と岡山県の美咲町の7,800円、福島県の双葉町の7,528円などです。
この基準額を元にして、所得により保険料額が決定されます。香川県の基準額は、第5期5,195円、第6期5,636円で8.5%増です。最高額は綾川町で6,300円、最低額は善通寺市で4,625円です。介護保険料は、要介護・要支援と認定される人の数や、介護保険サービスの利用内容により左右されるので、保険料が安ければよいという訳ではありません。
全国の保険料の分布でみると、4,501円以上5,000円以下が21.2%、5,001円以上5,500円以下が28.9%、5,501円以上6,000円以下が28.9%で、全体の約8割が4,501円~6,000円となります。これだけ高くなるととても払えないという人が増えてきます。
介護保険料を、自然災害等の特別な理由なく滞納した場合には、滞納年限によりペナルティーが科せられます。1年以上滞納した場合は、介護保険を利用する際の利用料が10割負担となり、滞納分の保険料を納入すれば後日審申請すれば9割が返金されます(10割払った時の領収書が必要です)。1年6ヶ月以上滞納した場合は、10割負担となるだけでなく、払い戻しの請求をしても、9割部分が戻って来ないこともあります。
2年以上滞納した場合は、介護サービスを利用した際の自己負担分が1割だったものから3割負担へと引き上げられます。また、高額介護サービス費が支払われなくなる場合があります。
この、介護保険料を滞納したペナルティーで、介護サービス利用時に自己負担が3倍になる高齢者が2013年度で1万人を超えたと、厚労省が公表しました。自治体が未収の保険料は同年度で総額274億円と過去最高になっています。最多は大阪市の673人で、横浜市314人、福岡市255人となっています。
さらに、滞納に対し預貯金の差し押さえなどの処分を行った自治体は全国で461あり、処分を受けた人は7,900人に上ります。そのうち自治体が保険料を回収できたのは5,377人。2,500人を超える人は資産もなく、そもそも保険料が高すぎるという実態が明らかになったと言えます。
介護保険料の軽減を、今後の自治体に対する要望事項として取り上げていく必要があります。
※保険者ごとの月額保険料の加重平均です。加重平均とは、平均する各項の条件の違い(重み)を考慮に入れて平均することをいいます。