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香川医療生活協同組合

国民健康保険制度が大きく変えられようとしています(その2)

(第691回 12月5日 )

 10月29日に開催された、第83回社会保障審議会医療保険部会の「医療保険制度改革について」の内容の紹介です。飛来峰第690回(12月2日付)の続きで、「国民健康保険について」です。

 前回「国庫支出金を意識的に減らしていることが抜けています」「1984年に49.8%であった国庫支出金割合は、2003年に35.0%、2009年には約25% に低下しました」と、指摘しました。

 この問題は、多くの自治体でも共通した意見です。

 2010年3月19日に、宮崎市議会が国会に提出した「国民健康保険財政への国庫負担割合を医療費総額の45%に戻すことを求める意見書」では、こう指摘しています(一部略)。

 1961年に国民健康保険(以下「国保」)制度が確立し、国民皆保険制度がスタートした。以来40数年を経て、現在国保には国民の約4割(2006年4月現在4,738万人、市町村国保のみ)が加入している。

 国保加入者の平均所得は1世帯あたり1991年度の276万5千円から2005年度には168万7千円に、100万円以上低下し、健康保険加入者の年間所得の半分以下である。しかも平均受給月額5万円以下の国民年金生活者の増加、本来、組合健保や協会けんぽ(旧政管健保)に加入すべき非正規労働者やフリーター等の低賃金の人が国保に加入している。

 また、国保税の滞納世帯が急増しており、2008年6月の厚労省発表では全国で453万世帯(20.9%)、宮崎県内では50,870世帯(25%全国第4位)となっている。滞納世帯の資格証明書や短期保険証の発行も増加し、病気になっても医療が受けられず手おくれで死に至る事例も増加している。

 このような事態を招いた根本には、1984年からの国による国庫助成金の引き下げが決定的な要因になっている。国は同年、被保険者の保険料と保険者による拠出金のみを財源とする退職者医療制度を創設するとともに、国保財源の国庫補助を医療費ベースで45%から38.5%へと削減した。このため市町村では、国保財政の悪化を補うため国保税の値上げをせざるを得なくなった。また、国保の総収入に占める国庫支出金の割合は、1984年の49.8%から2005年の30.6%へと激減し、一人当たりの国保税は39,020円から80,353円と倍増した。

 以上のような経過の中で、国庫負担の削減・住民負担率は増大し続け、「払いたくても払えない」国保税となってきている。これによって国保会計が赤字に陥り、国保税の値上げ、滞納世帯の増加、国保税収納率の低下、国の交付金削減、国保会計赤字の拡大という悪循環に陥り、自治体の国保財政は危機的状況にあり、自治体だけの努力では解決できない状況に追い込まれている。

 本来、国保は社会保険であり国が当然責任を持って援助し、国保税が払えず、治療が受けられないような事態が生ずるなどあってはならない制度である。

 このように、高過ぎる国保税を抜本的に解決し、国民皆保険制度を維持するためには、国民健康保険財政への国庫負担割合を段階的に1984年当時の医療費総額の45%に戻すことがどうしても必要である。

 この意見書への解説は不要だと思います。

 (この項、続く)


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