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香川医療生活協同組合

70歳から74歳の方の医療費負担が引き上げられようとしています

(第689回 11月25日 )

 10月15日に開催された、第82回社会保障審議会医療保険部会の「医療保険制度改革について」の内容の紹介です。飛来峰第688回(11月18日付)の続きで、「高齢者の自己負担について」です。

 審議会の問題意識は「高齢者の患者負担割合引上げ、高額療養費の外来特例の見直し等についても、議論すべきではないか」「年齢にかかわりなく、所得の高い人はそれなりに負担するべきではないか」というものです。

 ここでは70歳以上の方に限って述べます。

 医療費負担は、「現役並み所得」と判定されると、年齢に関係なく3割負担になります。70歳から74歳は2割(ただし、2014年4月1日以降に70歳になる人)、75歳以上は1割負担です。

 「外来特例」について説明します。2008年4月から後期高齢者医療制度が始まる時に、70歳から74歳の高齢者は法律では2割負担でした。しかし、この制度の評判があまりに悪かったために、当時の福田内閣が、2割負担を「特例」で予算措置をとり、一時的に1割負担としました。その後の政権もそれを踏襲し民主党政権でも続いていました。安倍政権になり、2014年4月から、各年度で新たに70歳に到達した人から、段階的に法律通りに2割負担になっていました。

 この特例を今回見直そうというものです。1人当たり医療費に対する自己負担割合は、75才以上は8.2%、70歳から74歳で1割負担なら8.0%、2割負担なら13.1%ですが、平均収入に対する自己負担割合は、75歳以上で4.4%、70歳から74歳で2割負担なら3.5%、1割負担なら2.1%です。75歳以上が最も高いので、75歳以上に近づけるために、速やかに70歳から74歳の負担率を2割にしようというものです。75才以上の負担が大きいのなら75歳以上の負担を引き下げるのが筋だと思いますが、議論が逆転していると思います。

 「高額療養費」制度は、短期間に多額の医療費負担が生じた場合に、家計への影響を少なくするための制度です。70歳以上で所得が一般(住民税が課税・年収約370万円以下)の場合、自己負担限度額は、1ヵ月44,400円(外来医療費は12,000円)になっています。この設定は、75歳以上の場合と同一になっています。

 高額療養費の1件当たりの支給金額は、75歳以上が17,082円、75歳未満が78,087円で、75歳未満の方が1件当たりの支給額が高いというのが問題にされています。

 しかし、75歳以上といっても、この中には、90歳以上の方の医療も含まれています。当然、70歳なら手術をするが、90歳を超えているので手術に耐えられないので他の治療法を選ぶということもあります。年齢で医療費のあり方を区切るのには無理があるのです。

 何が何でも70歳から74歳の方への負担を増やそうという議論だと思います。

 (この項、続く)


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