地方政治新聞「民主香川」に、〈社会保障を大本から破壊する「医療・介護総合法」〉というタイトルで、連載しています。2014年10月19日号(1650号)に掲載した「第6回」で、一部修正しています。
2014年10月3日に開催された、「第11回社会保障審議会介護給付費分科会 介護事業経営調査委員会」に提出された資料によると、2014年介護事業経営実態調査結果における各サービスの状況について、施設系サービスでは、介護老人福祉施設で収支差率(収入に対する利益の割合)については 、介護老人福祉施設で8.7%、介護療養型医施設では8.2%、介護老人保健施設では5.6%となっていることが報告されました。
訪問系サービスでは、訪問介護で7.4%、訪問入浴介護では5.4%、訪問リハビテーションでは5.3%、訪問看護ステーションでは5.0%で、前回調査(2013年度調査)との比較では、訪問介護、訪問リハビリテーション、訪問看護ステーションで上昇、入浴介護で下降している、とのことです。
こういったデータを背景にして、「財務省は2015年度の予算折衝で介護サービス事業者が受け取る介護報酬を引き下げるように厚生労働省に要請する。社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームが高い利益率を上げていることなどを背景に、報酬の引き下げは可能と判断した。介護の現場は人手不足が深刻で処遇改善への加算は拡充するが、それ以外では平均で6%のマイナス改定を求める」(「日経」)、と報道されています。
しかし、統計の取り方により数値は異なりますが、全産業労働者の平均賃金が月額29.8万円から32.4万円に対し、介護労働者は20.8万円から23.8万円で7割程度であり、介護職の人材確保と処遇改善の政策が求められています。
さて、7月28日に厚労省は、全国介護保険担当課長会議を開催し、介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(案)、.介護給付の適正化について、一定以上所得者の利用者負担、特別養護老人ホームの「特例入所」に係る国の指針(骨子案)、など2015年4月からの介護報酬改定に係る方針を示しました。
今回は、その中で、介護保険利用を申請し「要支援」と認定された利用者の介護保険外しを行う枠組みである「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案」について触れます。
従来、要支援者に対して行われてきた、訪問介護(ホームヘルパー)、通所介護(デイサービス)に対する予防給付は、介護保険の対象から外され、市町村が「地域の実情に応じ」て取り組む、「地域支援事業」に移行することになります。地域の実情が不十分なら、サービス内容も不十分になるということです。
また、「専門的なサービスを必要とする人には専門的なサービスの提供」を行うとしていますが、「専門的なサービス」が必要ないのならそもそも介護保険を利用する必要がないのですから当たり前のことです。「掃除・洗濯等の生活支援」は、「多様な担い手による多様なサービス」で対応し、「多様な単価、住民主体による低廉な単価の設定」などで「生活支援サービスの充実」を図るとしていますが、誰が責任を持つのかが不明確です。ボランティアやNPOが多く存在する都会ならともかく、「田舎」では、介護保険料あって介護保険サービスなし、になりかねません。