あなたにもあげたい 笑顔 健康

TOPヘ

香川医療生活協同組合

社会保障を大本から破壊する「医療・介護総合法」(その4)

(第678回 9月30日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、〈社会保障を大本から破壊する「医療・介護総合法」〉というタイトルで、連載しています。2014年8月10日号(1644号)に掲載した文章で、一部修正しています。

 9月16日付本欄(第676回)で、医療提供体制の再編において、入院患者について「何が何でも在宅へという流れを作りました」と述べましたが、もう少し詳しく見ていきます。

 7対1病床では「自宅等復帰率」が75%以上を要件とするとされました

 さて、「自宅等」とは何でしょうか。

 戸建てであれ、マンションであれ、団地であれ、「自分(と家族)が住む家」が、当然「自宅」になります。

それ以外では、
・特別養護老人ホーム
・養護老人ホーム
・軽費老人ホーム(A型・B型・ケアハウス)
・有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
などが「自宅等」の「等」の部分に当たります。

 因みに、養護老人ホームとは、独居不能で家族がいないまたは家族の援助が不可能な場合、行政の措置として入所が決まります。65歳以上で身の回りのことは自分でできる、一定以上の所得がない、などきびしい条件があります。

それ以外では、以下のものが含まれます。
・回復期リハビリテーション病棟(自院以外の)に入院する場合。
・他院の療養病棟で在宅復帰機能強化加算の届出を行っている病棟に入院する場合。

 在宅復帰機能強化加算とは、①医療療養病棟で医療区分2・3(医療を必要とする度合いが高い)の患者が80%以上、②在宅復帰率が50%以上で、病床回転率10%以上、つまり長期入院患者ばかりではだめということになります。

 ・介護老人保健施設も在宅強化型のものか、在宅復帰・在宅療養支援機能加算の届出を行っていること。

 在宅強化型とは、①過去6ヶ月の在宅復帰率が50%以上、②過去3ヶ月のベット回転率が10%以上、③過去3ヶ月の要介護4・5以上の利用者割合が35%以上、のことです。つまり重症者を3分の1以上受け入れて、どんどん在宅に帰すという意味です。

 在宅復帰・在宅療養支援機能加算は、簡単にいうと、退所者の3割以上が在宅復帰し、退所後施設職員が自宅等を訪問し、1月以上(重症者は14日以上)自宅等の生活が継続することを確認する、というものです。

 ・今回新設された、地域包括ケア病棟(病室単位で届出も可能)に入院する場合。検査、レントゲンなど画像診断、投薬や注射(ごく一部除外規定がある)などが包括されたもので、病状が変化しやすい急性疾患は入院が難しいのが現実です。

 ここまで来ると、7対1病院から普通の病院に転院することは事実上不可能になります。これが、何が何でも自宅への誘導という意味なのです。

 すでに、地方によっては、急性期病院からの紹介患者が全くなくなった、救急車も来なくなった、などすでに医療が大きく変わろうとしている実態が報告されています。

 全く変化がないという地域もあるのですが、10月以降都道府県により病院の性格付けが進みますから、今後は激変が起きるとみておいた方が良いと思います。


関連項目へ 矢印 "飛来峰"バックナンバー

TOPへ 香川医療生活協同組合
フッターのライン