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香川医療生活協同組合

社会保障を大本から破壊する「医療・介護総合法」(その3)

(第676回 9月16日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、〈社会保障を大本から破壊する「医療・介護総合法」〉というタイトルで、連載しています。2014年7月20日号(1641号)に掲載した文章で、一部修正しています。

 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(「医療・介護総合法」と略します)が成立しました。しかし成立した法律だけを読んでもよくわからないところがあります。それは、法の内容を具体化する時には、別に省令や告示などを出さなければならないからです。

 これから触れる具体的な内容について「医療・介護総合法」の文言を引用しているわけではありませんが、政府・厚労省の文書などから「医療・介護総合法」狙いを明らかにするものです。

 まず、医療と関連した面で大枠の方針としては、次の3点です

 (1)急性期への資源の投入を中心とした医療提供体制の再編・機能分化を行い、医療機関間の連携で長期入院の適正化を行う

 (2)在宅医療の推進、地域包括ケアシステムの構築。24 時間対応の訪問サービスやサービス付き高齢者住宅などの整備

 (3)その他、ICT(情報通信技術)の活用による重複受診・重複検査などのチェック、チーム医療の推進などです。

 医療提供体制の再編では、現在36万床ある7対1病床と、21万床ある10対1病床を減らし、「高度急性期病床」18万床、「一般急性期病床」を35万床にするというものです。

 7対1病床とは入院患者7人に対し看護師が1人勤務しているという意味です。42人入院患者がいれば5人の看護師ということになります。しかし、夜中も昼間と同じだけの看護師は必要ではありませんから、8時から16時は9人、16時から0時は3人、0時から8時は3人でよいということになります(実際は休憩時間があるので、こんなに簡単ではありません)。

 7対1病床にして看護師をふやすと診療報酬上有利なため、多くの病院が7対1を選択しました。そこで、医療費削減を目的として、今回の改定で、厚労省は、まず7対1病床を減らすためのさまざまな方策を取りました。

 まず、在院日数のカウントから除外されていた、入院日数が長期化しやすい障がいを持つ患者の扱いを変更しました。計算式に入れて早く退院させるか、計算式に入れない時には診療報酬を引き下げることにしました。

 入院患者の重症度の評価方法を変え、より重症でなければいけないようにしました。

 7対1看護になり、看護師が増えた分患者に向き合う時間が長くなり、より重症であったり介護度が多少高くても入院が可能になり医療の質は上がったはずですが、今後、入院患者の受け入れ制限が増えるのではないかと心配です。

 また、自宅等への復帰率75%以上を要件とするなどとしました。自宅等とは、自宅だけでなく、サ高住、グループホームなどの施設も含みます。療養病棟は在宅復帰機能加算に限る、介護老人保健施設も在宅強化型のものか、在宅復帰・在宅療養支援機能加算の届出を行っていることが必要で、何が何でも在宅へという流れを作りました。


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