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香川医療生活協同組合

社会保障を大本から破壊する「医療・介護総合法」(その1)

(第671回 8月26日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、〈社会保障を大本から破壊する「医療・介護総合法」〉というタイトルで、連載しています。同時並行で、あちこちに文章を書いている関係で、飛来峰にこれまで掲載した文章と内容的に重複していますが、こちらの連載はそれなりに継続性があるので転載します。

 2014年5月18日号(1635号)に掲載した文章で、一部修正しています。

 2012年6月から約2年間、「民主香川」紙に「税と社会保障の一体改革は国のかたちをどのように変えるか」と題する連載を行ってきました。今号からは、その続きとして、新たな医療・介護を始めとする社会保障改悪の内容を明らかにしていきたいと思います。

 この間の医療・介護・福祉制度の改悪は、単に制度の改悪にとどまらず、憲法25条で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を破壊していくものでした。

 その経過について、簡単に振りかえってみます。

 2006年6月に「医療制度改革関連法」が成立しました。「健康保険法等の一部を改正する法律」「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」の2本の法律でしたが、健康保険法・国民健康保険法・老人保健法・介護保険法・医療法・薬事法・医師法・歯科医師法・保健師助産師看護師法など、12の法律が対象になっていました。

 さらに、21項目からなる附帯決議と、440からなる政省令・告示で08年4月までに体系化するというものでした。

 その内容と狙いは、①公的保険給付の内容と範囲を縮小する、②都道府県に対して「医療費適正化」計画の作成・実施を義務化する、③医療保険制度を都道府県単位の運営に切り換える、④患者を病院から地域・家庭へ強制的に「退院」させる仕組みづくりにありました。

 2008年4月には、75歳以上の高齢者を「後期高齢者医療制度」という枠組みに押し込める新たな制度を作りました。

 2009年9月に民主党政権が誕生したものの、社会保障と税の一体改革が提案され、消費税増税と社会保障の切り捨てを推し進める路線が進みました。2012年6月の3党合意の下、2012年8月には関連法案が成立しました。2013年8月には、社会保障制度改革国民会議報告書が公表されました。

 2013年12月には「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(いわゆる「プログラム法」)が成立、社会保障制度の改悪スケジュールが「決定」されました。しかし、本来、政策課題をいつ実行するかは法律で定めるものではなく、その時々の景気の動向などさまざまな課題を勘案して、国会で審議した上で決定すべきものです。その点で、国会軽視と言わざるを得ません。

 そして、2014年2月12日に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(案)が閣議決定され、国会に提出されました。その内容は多岐にわたり、医療・介護のみならず、社会保障全体を大本から変える内容で19本の法律からなりますが、政府は5月中(14日と言われています)に採決を強行しようとしています。

 そのことには抗議しつつ、参議院での審議もある訳ですから、次号から問題点を明らかにしていきたいと思います。


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