(第670回 8月19日 )
被災地医療福祉生協訪問・宮城県篇で、第666回(7月29日)の続きです。断続的な連載で随分長くなりましたが、宮城県篇のまとめをしたいと思います。
四国にいると、TVや新聞でみる「ニュース」は、当初はたくさんの報道がありますが、日が経つにつれ情報量が殆どなくなります。
香川医療生協は、当初は日本医療福祉生協連・近畿ブロックの取り組みに参加して、宮城県亘理郡山元町のさまざまな支援活動を行ってきましたが、途中から独自の取り組みとして支援を行ってきました。ですから、みやぎ県南医療生協の様子はある程度知っていましたが、松島医療生協の様子は今回初めて知ることになりました。
甚大な被害の様子を知ることができたほかに、復興がなかなか進まない様子を知ることができました。JRの代替輸送のバス停にコンビニエンスストアができた、というのは朗報だと思うのですが、一方で住みなれた土地に戻りたくても戻れない現状が理解できました。
海沿いや川に近い土地の場合、一部損傷した家屋の修復が認められる場合が地域によってはあるようですが、家屋を解体してもそこに新築することは認められないため、結局、草ぼうぼうの土地が広がっているという実態がよく理解できました。
こういった問題に関連して、昨日(8月18日)のNHKの朝のニュース(おはよう日本)で、「土地売却で負担増・高齢者に広がる困惑」というニュースが流れました。宮城県石巻市の施設にいる方が、施設への支払いが約2倍になったというものです。石巻市の川の地区に住んでいたため、市の都市計画により自宅土地を売却せざるを得ず、70坪の土地を300万円余りで売却したところ、市が「所得が増えた」と判定して住民税非課税でなくなったため自己負担が増加した、というものです。
遺産相続などで土地を売却し一時的に所得が増え、医療費の負担が1割から3割になって大変だという声はよく聞きます。
しかし、このケースは、地震・津波といった自然災害により家に住むことができなくなった、新築したくても条例など法の定めにより不可能、市が公園整備するために土地をやむなく売ったという経過の中での出来事です。
税金に関するルールを変えるのは難しくても、これまでと負担額が変わらないように特別な制度を作ることは可能です。震災に関連する現状をよく知り、必要な制度の整備が求められていると思います。
今回の訪問で知った現実を元に、医療福祉生協連としての新たな支援の枠組みを考えていきたいと思います。
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