香川県保険医協会報2014年5月号の「主張」欄に掲載した文章を転載します。参院で可決成立する前に書いた文章なので、少し古いのですが掲載します。一部修正しています。
2月12日に、政府は「医療・介護総合法案」(「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(案)」)を国会に提出しました。
その内容は多岐にわたり、医療・介護のみならず、社会保障全体を大本から変える内容で19本の法律からなります。本来なら一つ一つ別の法案として十分な時間を取って審議すべきですが、衆議院で採決を強行しました。強く抗議するものです。
診療報酬改定で、各種病床での在宅への復帰率を導入、平均在院日数の厳格化など、入院から在宅への流れを強化し、7対1病床を9万床削減しようとしています。
「医療・介護総合法案」では、医療機関の申告により高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能に区分します。都道府県は4機能ごとの「必要量」を示した「地域医療構想」を2次医療圏ごとに作成し「医療計画」に盛り込み、医療機関名の公表、融資・補助金の不交付など「構想」に従うよう働きかけていきます。新設の「基金」を用意するなどの仕組みもあります。
入院を制限するために、入院給食の原則自己負担も検討されています。入院給食の費用は高額医療の対象とはならないため、低所得者を直撃します。
介護の分野でも、特別養護老人ホームを「中重度の要介護者を支える」施設とし、要介護3以上に入所者を限定するとしています。要介護1・2の場合は、「特養以外での生活が著しく困難な場合」に限り認める方針とされます。
要支援者の予防給付について、訪問・通所介護を、ボランティアなどを活用した市町村の独自事業に移していくため、保険料あって保険サービスなしという状態になりかねません。また、認知症に対しても、軽度のうちに十分な支援を行うことができなくなります。
介護の利用料も低所得者でも2割負担になる、難病患者の自己負担も増加するなど社会保障そのものを破壊する内容になっています。
医療・介護を始めとする社会保障を破壊する、「医療・介護総合法案」の速やかな廃案を求めるものです。