2014年4月からの診療報酬改定は、社会保障と税の一体改革、社会保障制度改革国民会議報告書(「報告書」)などの内容を反映したものになっています。
まず、7:1病床を削減するために、看護必要度を医療・看護必要度に変更し、対象患者の限定を行いました。また、90日を超えて入院している患者の扱いを変更し長期入院を抑制、自宅等への復帰率75%以上を要件とするなどとしました。
さらに、自宅等に含まれる、療養病棟は在宅復帰機能加算に限る、介護老人保健施設も在宅強化型のものか、在宅復帰・在宅療養支援機能加算の届出を行っていることが必要で、何が何でも在宅へという流れを作りました。
「報告書」では、「医療の機能分化を進めるとともに急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入」するとしましたが、「機能分化」という以上、医療機関の提供する医療内容が問題にされるべきですが、今回の改定は、とにかく自宅等に帰ることが条件になっており、「機能分化」とはいえません。
在宅医療でも問題のある改定が行われました。在宅患者訪問診療料が、同一建物に居住する方の場合、特定施設入居者(グループホームなど)が203点に、特定施設入居者以外(マンションなど)の場合が103点に引き下げられました。
これがどの程度低いのかというと、診療所に6歳以上の患者が受診した場合、再診料に外来管理加算を加えると124点です。これでは、在宅医療を続けることが困難になります。
また、在宅時医学総合管理料や、特定施設入居時等医学総合管理料の点数も、同一建物居住者の場合は引き下げが行われました。いずれの管理料も患者一人一人に異なる内容がある訳で、同一日に複数患者を診たからといって、引下げる理由はありません。
全国有料老人ホーム協会などの調査では、施設に訪問診療する医療機関のうち13%が、廃院する、訪問診療を全部か一部やめると回答しています(4月11日「四国」)。いわゆる「患者紹介ビジネス」に端を発した問題ですが、高齢者住宅を等を建設した事業者には何のペナルティーもなく、医療機関だけに責任を押し付ける改定には納得できません。