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香川医療生活協同組合

空気を吸うのにお金が必要な医療制度は間違っています

(第649回 5月27日 )

 「難病の患者に対する医療等に関する法律案」(以下「難病対策新法」と略)が5月23日に参院本会議で成立しました。難病患者の医療費負担を免除する制度や治療研究事業など、難病患者に対する施策には、これまで法律に基づかない研究事業として施行されてきました。今回の法成立により、法的根拠に基づく制度として再スタートすることになります。

 厚生労働省健康局疾病対策課が3月4日に開催した「全国健康関係主管課長会議資料」(注1)によれば、「難病に係る医療費助成について、都道府県の超過負担の解消を図るとともに、難病に係る新たな公平かつ安定的な制度を確立するため、必要な措置を講ずる」目的で提案されたものです。

 「これまで、医療費助成の対象となる疾患とならない疾患との間で不公平との指摘があったところだが、これを見直し、一定の要件を満たす疾患を対象とすることとし、現時点においては、現行56疾患であるところが約300疾患に拡大される見込み。

 これにより、受給者数は平成23年度実績で約78万人のところ、平成27年度には経過措置(3年間)で軽症者も対象とすることから、約150万人に増える見込み」とされます。

 これまで、原因不明で他の「難病」と区別されていた多くの疾患が新たに対象になったことは前進面ですが、いくつかの問題点も残ります。

 医療費助成制度について、新制度の負担上限について障害者の自立支援医療を参考に設定すること、高額な医療が長期的に継続する方について、自立支援医療の「重度かつ継続」の場合と同じ負担上限とし、また、人工呼吸器等の生命維持装置を常時装着するような方に対しては、一律に負担上限を1,000円にするといった配慮措置を行うこと、とされました。

 言い換えると、気管切開を行い人工呼吸を行っている患者でも月1,000円の負担を強いること。人工呼吸を行っている場合、気管切開を行っている場合と、鼻マスク(注2)で行っている場合に区別をしたことです。「鼻マスク」では低所得者世帯にも月2,500~5,000円を自己負担が必要になります。

 5月16日に青森県保険医協会が、衆議院会館で「人工呼吸器使用者の患者負担ゼロを求める国会内集会」(注3)を行いました。

 その要望事項は、以下の4点です。

 ・息をするだけでお金を取らないでください
 ・人工呼吸器装着者を気管切開と鼻マスクなどで区別しないでください
 ・人工呼吸器装着者の自己負担はゼロにしてください
 ・人工呼吸器装着者でも安心して生活できる社会にしてください

 法案の具体化の中で、「人工呼吸器装着者の自己負担」は、気管切開であれ鼻マスクであれゼロにすべきだと思います。


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