(第645回 5月9日 )
4月からの診療報酬改定について、本欄の第637回(3月18日)、642回(4月11日)、644回(4月25日)と断続的に連載を続けてきました。
第642回で「東京・大阪などの大都市圏なら、徒歩や自転車、バイクなどで移動可能な距離に患者宅があるかもしれません。しかし、地方ではそういう訳にはいきません」と書きました。この間の在宅医療に関する診療報酬改定の内容を検討したり、厚労省の文書に載った「地域包括ケア」の図(注1)を見たりして、厚労省は「都会」しか見ていないのではないか、地方都市を含む田舎を見ていないのではないかという疑問を常に持っていました。
高齢化社会、高齢者が増えて大変だという報道が洪水のように行われる中で、NHKの番組で「地方では高齢者が減少している」という報道に興味を持ちました。
「中央公論」2013年12月号に掲載された、「戦慄のシミュレーション 2040年、地方消滅。『極点社会』が到来する」という記事に触発されたのでしょうか、NHKが行った取材の報告です(注2)。
全国1742の市区町村について、65歳以上の高齢者の人口の増減を調べたところ、5年間で高齢者が減少した市町村が5分の1を超える388あり、福島・島根・鹿児島ではこうした市町村が半数を超えていたというのです。
もう一つの問題は4月中旬頃でしょうか、NHKが報道した、こどもを産む中心的な世代の20代から30代の女性の数が大きく減少するというものでした。
こどもを産む世代の女性の問題は、働く場所や住む場所の確保、子育てしながら仕事ができる環境など、「自己責任」で済まされている様々な問題を、社会全体で解決していかなければならないと思います。
一方、「減少する高齢者」の問題は、医療・福祉だけでなく、住みつづけられるまちづくりなど、幅広い問題を解決しなければなりません。
「医療福祉生協のいのちの章典」の中で、医療・福祉に限らず幅広い概念として「アクセス権」を提起しました。まさに「アクセス権」をどう保障するかが問われているのだと思います。
注1:地域包括ケアシステムについて
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai15/siryou1.pdf
#search='%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%8C%85%E6%8B%AC
%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%
3%A0%E3%81%A8%E3%81%AF'
注2:NHKのHPより参照ください。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2014_0502.html
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3493_all.html
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