(第643回 4月18日 )
高血圧を行う上で重要な指針となる「高血圧治療ガイドライン」の2014年版が公表されました(注1)。
高血圧の診断手順として、健診や家庭血圧、偶然測定した血圧などの値について、診察室血圧が140/90以上なら、家庭血圧を測定し、家庭血圧が135/85以上なら高血圧と診断できるというものです。これ以外のケースについては、別の機会に触れますが、この考え方が公表する時期に合わせて、人間ドック学会と健康保険組合連合会が、まったく別の数値をマスコミ発表し(注2)、「血圧」の「基準範囲」としました。
この報道後、「血圧の正常値が変わったそうだが」「正常値はいくらか」という問い合わせが殺到しています。
そもそも、人間ドック学会と健康保険組合連合会の調査は、基準範囲を設定する条件として、高血圧の薬物の常用のない者となっています。軽症高血圧で薬物を使用していない場合も含む設定となっています。
そのため、新たな基準範囲は、血圧は収縮期が88~147、拡張期が51~94となっており、機械的に判定すれば明らかな高血圧でも「基準範囲」内ということになってしまいます。
そのため、高血圧学会は「高血圧学会から国民の皆様へお願い」(注3)というコメントを出し、「健診受診者でこの血圧の場合、本当に『正常』といえるか不明」であるとしました。
医療現場に混乱をもたらした、人間ドック学会等の責任は重いと思います。
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