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香川医療生活協同組合

「社会保障制度改革国民会議報告書」の問題点7   少子化対策ははどうなるか(1)

(第639回 4月1日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、「税と社会保障の一体改革は国のかたちをどのように変えるか」を連載しています。2014年3月16日号(1629号)に掲載した、第22回 「社会保障制度改革国民会議報告書を読み解く(その7)」、を転載します。一部修正しています。

 「社会保障制度改革国民会議報告書」の、「少子化対策分野の改革」では、少子化対策や子ども・子育て支援策は、次世代育成支援であり、すべての子どもたちが健やかに成長するために、出生前から就学後まで切れ目なく良質な成育環境を保障することにある、と述べています

 そして、子どもたちへの支援は、社会保障の持続可能性・経済成長を確かなものとし、日本社会の未来につながる。すべての世代が連携して、すべての子どもの成長を温かく見守り支えることができる社会の構築を目指す、と述べています。

 こういった考えかたには、言葉の上ではおむね同意できると思います。問題は、実際の政策がどのような内容であるのか、ということです。

 2012年8月に消費税増税法とともに、こども・子育て関連3法案が成立しました(子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、関係法律の関係整備法案)。法律の趣旨は、次の3点です。

  • 子ども・子育て家庭を社会全体で支援
  • 子ども・子育て支援関連の制度、財源を一元化して新しい仕組みを構築
  • 質の高い学校教育・保育の一体的な提供、保育の量的拡充、家庭における養育支援の充実

現在の保育制度は、入所や利用の仕組みに自治体が責任を持ち、施設に補助する、というやり方でした。これからは、利用者に補助する(給付金方式)、保護者の自己責任による直接契約方式に変更されます。

 保育を利用する時には、介護保険と同じように「保育必要度」を認定するための申請が必要になります。1号認定こどもは、3歳以上で保育の必要のないこども、新制度で運営される運営される幼稚園に通う子どもです。2号認定子どもは、満3歳以上で保育の必要性の認定を受けた就学前の子どもです。3号認定子どもは、満3歳未満で保育の必要性があると認定された子どもで、現在保育所に通う3歳未満のこどもです。

 2号認定子どもと3号認定子どもは、「保育必要量」についての認定を受け、「長時間区分」と「短時間区分」に分けられます。認定された時間を超えて保育が必要な場合は、超えた分が全額自己負担になります。介護保険と同じ仕組みになるのです。

 保育所の側も、子どもにより保育時間が異なりますから、子どもの発達を保障する保育を行う上で大変やりにくくなります。また、「短時間区分」が多くなると保育園への収入が減りますから、経営的に打撃を受け、必要な人員を確保できなくなります。

 児童福祉法も改正され保育所整備の補助金制度がなくなりますから、保育所の改築や施設の充実などが困難になったり、親の負担が増えることになるかもしれません。

 営利企業の参入が可能になりますから、もうけ主義の企業が参入したり、収入が買株主への配当に回されるなど、本来あるべき保育の姿がゆがんで行くことになります。

 保育に対する公的責任を投げ捨てたやり方だと言わざるを得ません。


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