(第637回 3月18日 )
診療報酬改定の通知が発出されました。細かな内容は下記のHPを参照ください。といっても、読んでも何のことかわからない文章が続くのですが。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html
新しい診療報酬の内容を示すのが、「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示)」(平成26年厚生労働省 告示第57号)です。今回問題となったのが、政府が推し進める在宅医療分野の改定です。
在宅医療の中心は、往診と訪問診療です。往診は患者・家族から依頼があって行くものです。訪問診療は、外来通院であれ往診であれ、患者をいったん診察した上で計画的に患家に訪れ診療を行うものを言います。
これまでは、訪問診療を行う際には「同意を得る」ことになっていました。しかし、同意を得たことを証明するのは、「同意した」旨のカルテ記載があれば特別問題にはなりませんでした(地方によっては、文書が必要という指導があったようですが)。
今回は、「同意書を作成した上で診療録に添付する」ことが義務付けられました。自分で字が書ける、家族がいるといった場合なら特に問題はありませんが、一人暮らしで、手が震えたり麻痺のため字が書けない人もいます。認知症で家族がいない場合もあります。「原則として」というのならまだしも、全員に義務付けるというのはかなり無理がある制度です。
さらに問題なのが、3月5日に厚労省が行った説明会の資料には、「当該患者又はその家族等の署名付の訪問診療に係る同意書を作成した上で診療録に添付すること。(要介護度4以上又は認知症である老人の日常生活自立度判定基準におけるランクⅣ以上の場合を除く)」(一部略して引用)と書いてありましたが、実際に発出された通知には、この文言が抹消されていたことです。
3月13日に開催された参議院の厚生労働委員会でこの点が問題になりました。小池晃議員(共産)が、「訪問診療を要介護4以上及び認知症の高齢者に限定しようという政策意図があるということじゃないですか」「そもそも何で介護保険なんですか。関係ないじゃないですか」などと質問したのに対し、田村厚労相は、「(問題が)生じれば、その時には中医協にお諮りする」「厳密にある程度運用していかなくちゃならぬ」などと、この問題を否定しませんでした。
在宅医療のあり方を考える上で大きな問題だと思います。
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