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香川医療生活協同組合

低妥結率の病院に対する診療報酬減額措置には反対です

(第633回 2月25日 )

 診療報酬改定については、第632回(2月21日)付で触れましたが、今回はその続きです。

 今回の改定で、これまでにない新たな仕組みが持ち込まれました。1月29日に開催された第270回中医協(中央社会保険医療協議会)総会で、「個別改定項目について(その1)」の、「Ⅳ 効率化余地がある分野を適正化する視点」の中の、「Ⅳ-5 大規模薬局の調剤報酬の適正化等 調剤報酬等における適正化・合理化」として、次のような内容が提案されていました。

 2.妥結率が低い保険薬局等の適正化について

 妥結率が低い場合は、医薬品価格調査の障害となるため、毎年9月末日までに妥結率が一定率以上を超えない保険薬局及び医療機関について、基本料の評価の適正化を図る。

 (1)診療報酬における対応
 許可病床が200床以上の病院において、妥結率が低い場合は、初診料等の評価を引き下げる。

 今回の改定で、初診料は270点(1点は1,000円)から、282点に引き上げられましたが、200床以上の病院で妥結率が5割以下の場合は209点と、73点、25.9%もの大幅引き下げすることになりました。再診料も69点から72点に引き上げれられましたが、低妥結率の200床以上の病院は19点(26.4%)もの大幅引き下げとなりました。

 病院や診療所、調剤薬局は薬剤を仕入れる時、薬価が100円の薬を100円で仕入れる訳ではありません。購入時には消費税を医療機関等が負担しますから、95円で仕入れてやっと25銭の利益がでることになります。当然それでは経営がやっていけませんから、値引き交渉を行うことになります。

 最近は製薬会社や製薬卸が強気で、なかなか値引きには応じないため、交渉には時に1年以上かかることもあります。厚労省は、これがいけないというのです。医療の値段が公定価格であるとはいっても、物の売り買いは民間の商取引です。早く妥結して儲かるのは主に製薬会社です。

 早く妥結しないと医療機関等が損をするから、高い価格で妥結する仕組みを作ってしまえば、医療機関の経営に大きな打撃を与えるし、公正な競争ができなくなり独占禁止法に違反する可能性すらあります。

 TPP参加を前提にした準備ではないかというのは考えすぎかもしれませんが、今回の診療報酬減額措置には反対です。

 ※妥結率とは、購入価格が決まった=妥結した薬剤の薬価総額/購入した薬剤の薬価総額のことです。


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