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香川医療生活協同組合

生活保護法「改正」を考える

(第629回 2月7日 )

 2013年12月13日に「生活保護法の一部を改正する法律」が公布、それに伴い「指定医療機関医療担当規程」の一部改正が行われ、2014年1月1日から施行されることになりました。それに伴い、福祉事務所から「後発医薬品の使用促進について(依頼)」という文書が送付されてきました。

 今回の法改正については、様々な問題が指摘されてきました。

 従来の生活保護法では、保護の申請が書面でなくても口頭で可能であり、保護の要否判定に際しての書類の添付を申請の要件とはしていませんでした。

 法改正により「要保護者の資産及び収入の状況」などを記載した申請書を提出し、申請書には保護の要否判定に必要な「厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない」としています。しかし、ホームレス状態の人や、家庭内暴力(DV)で逃げてきた人など、諸事情によって資料をそろえられない人が、申請をあきらめるかもしれません。

 また、保護開始の決定時に扶養義務者に対して、厚生労働省令で定める事項を通知することを「義務化」しています。資産状況等の調査対象となる扶養義務者の範囲も拡大しています。「水際作戦」と呼ばれる、申請そのものをやりにくくする可能性が高いという問題点があります。

 今回、厚生労働省社会・援護局保護課長が2013年5月16日に発出した「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて」という文書の中で、「生活保護における後発医薬品の使用割合は、医療保険の後発医薬品の金額シェア8.5%に対し、生活保護分は7.5%にとどまっている」としたことを受け、生活保護法の規定や指定医療機関医療担当規程が改正されることになりました。

 具体的には、医師・歯科医師に対しては「被保護者に対し、可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めるものとする」「投薬を行うに当たっては、医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めた場合には、可能な限り患者にその使用を促すよう努めなければならない」,調剤薬局や薬剤師に対しては「薬局は……後発医薬品の備蓄に関する体制その他の後発医薬品の調剤に必要な体制の確保に努めなければならない」「薬剤師は、後発医薬品を調剤するよう努めなければならない」とされました。

 医療費を引き上げる最大の要因の一つは、欧米に比べ高い薬剤費にあります。欧米では当たり前の、後発医薬品(ジェネリック)の活用は重要です。現在でも、医師が処方箋を発行する場合、「変更不可」と記載しない限り、患者が調剤薬局の薬剤師と相談し自由に後発医薬品を選択することができます。

 生活保護患者だけ、なぜ、義務化に近い制度を作るのか、大いに疑問のあるところです。


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