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香川医療生活協同組合

うがい薬の保険外しを考える(その3)

(第628回 2月4日 )

 1月31日付(627回)の続きです。

 前回は、2009年11月の行政刷新会議ワーキンググループの議論から引用しました。2012年11月16日から18日にかけて、行政刷新会議の「新仕分け」が開催されました。2日目の11月17日に生活保護、市販品類似薬、在宅医療連携事業などをテーマとして会合が開催されました。

 この中で、「薬によっては、保険対象から外し、薬によっては自己負担割合を引き上げるべき」「窓口価格が安いだけで、大きなコストがかかっている」という、評価者のコメントが出され、結論として「ビタミン剤など市販品類似薬については、自己負担割合の引き上げを試行すべき」「一部医療保険の対象から外すことについて検討」とされました。

 しかし、この議論の資料を見てみると、うがい薬の市販価格は609円、医療医薬品の場合の自己負担は702円ですから、医療保険を使った方が自己負担は高いのです。市中の薬局で買った方が安いのなら、誰も医療機関にはかかりません。どれほど真面目に議論したのかという疑問が湧いてきます。

 実は、ビタミン剤については2012年の診療報酬改定で、「単なる栄養補給目的での投与は医療保険の対象外」になっています。保険が適用されるのは、「症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝異常であることが明らか」で、「必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合」で、「医師が当該ビタミン剤の投与が有効であると判断したとき」に限るとされました。

 つまり、医師が必要と判断すれば、医療保険が適用されるというのがルールでした。

 今回は、「うがい薬のみを処方する場合」が保険から外される訳で、問題は大きいと思います。

 この論法が通用するなら、「薬局で買った方が安い」⇒「その薬だけを処方する場合は保険から外す」という暴論がまかり通ることになります。

 「うがい薬程度」では済まされない問題なのです。風邪をひいてのどが痛い患者が、うがい薬だけが欲しくて病院を受診することはありえません。診察料を払わないといけない、待ち時間もある、など薬局に行くのが普通でしょう。本当に風邪という診断でよいのか、うがい薬以外にも薬が必要だから医療機関を受診する訳です。医師の診察の結果、医学的判断が行われ、結果としてうがい薬だけが処方されることもあるでしょう。しかし、そこにはきちんとした「医療」が行われている訳です。経済的理由だけで医療保険外しを行うべきではありません。

 うがい薬の保険外しには反対です。


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