(第623回 1月10日 )
医療費の具体的な価格を決める「診療報酬」は2年に1回改定されますが、その内容について中医協(中央社会保険医療協議会)で検討が行われています。通常は週1回程度の頻度で行われますが、2月10日前後に大枠が、3月5日前後に詳細が決定されますから、これからは、急ピッチで検討が行われることになります。
さて、昨年12月25日の中医協開催を前に、「うがい薬:保険適用外に」という報道がありました。「財務、厚生労働両省は24日、医師が処方する『うがい薬』について来年度以降、同時にほかの薬を処方しなければ公的医療保険の対象から外すことで合意したと発表した」(「毎日」)というものです。
中医協での議論について、保団連(全国保険医団体連合会)のHPから引用すると(正確な発言内容は、後日厚労省のHPに掲載されます)、
★これについては、支払側、診療側ともに異論が出された。中川委員(日医副会長)は「まず諸会議での主張と、対する検討の方向性には文脈上非常に無理がある。そもそも『単にうがい薬のみを処方する場合』とはどんな場合か」と疑問を呈した。これに対し宇都宮医療課長は「うがい薬のみの処方という治療の場合はまさに考えにくい。おそらく予防的観点かと」と述べた。これについて中川委員は「それは逆で、風邪で受診した患者にうがい薬のみを処方するのは名医だと思う。それだけ高度な診察能力にも関わらず、そういったケースを保険の対象から除外するのは非常におかしな話。そもそもうがい薬は一つの例示に過ぎず、問題は市販品類似薬だ。OTC薬は医療用薬品の有効成分を半分から1/3以下に抑えている。(OTCが)こういう流れに使われるのであれば、医療用薬の安易なOTC化はこれ以上進めるべきではないという態度を取らざるをえない」と批判するとともに、医師会としてはTPPが皆保険制度を崩壊させるものであり、今回の提案はそのための「蟻の一穴である」と危険視し、反対を表明した。★
「日経」によれば「うがい薬の保険適用除外は、14年度の診療報酬改定の大臣折衝で20日に決定したが、厚労省は24日まで公表を控えた」という背景があるようです。
しかし、特定の薬剤をターゲットにして、薬局で買った方が安い薬を単独で処方した場合は保険から外す、というルールができたなら、「漢方薬だけなら」「ビタミン剤だけなら」「湿布だけなら」と、無限に「保険外し」が広がっていくことになります。
医療面で効果を検討した結果、保険適用が適切ではないと判断して保険から外すことは理解できますが、「値段」だけで保険外しを行うのは本末転倒といわざるを得ません。
安易な「うがい薬の保険外し」には反対です。
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