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香川医療生活協同組合

「社会保障制度改革国民会議報告書」の問題点3 介護保険はどうな るか(2)

(第618回 12月13日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、「税と社会保障の一体改革は国のかたちをどのように変えるか」を連載しています。2013年11月17日号(1617号)に掲載した、第18回 「社会保障制度改革国民会議報告書を読み解く(その3)」、を転載します。一部修正しています。

 「社会保障制度改革国民会議報告書」の第2部に書かれた、介護保険制度改革に関する内容の続きです。

 「施設入所の場合、世帯の課税状況や課税対象の所得を勘案し、居住費や食費について補足給付により助成を受ける。その結果、保有する居住用資産や預貯金が保全されることとなる可能性があり、世代内の公平の確保の観点から、資産も勘案すべき。低所得と認定する所得や世帯のとらえ方について、遺族年金等の非課税年金や世帯分離された配偶者の所得等を勘案するよう、見直すべき」と述べています(一部省略して引用)。

 食費についていえば、家にいても施設にいても食事はする。入所した時に食費の補助があれば、その分だけ貯金できる人もいるのだから、不公平ではないか。所得が低い場合は、補助があり自己負担を減らすために補助(補足給付)があるので、その分貯金できることになるではないか、という議論です。

 一見、正論に見えるかも知れませんが、特別養護老人ホーム(特養)の場合、住民税非課税で年金が80万円超211万円未満の場合、食費の負担は月額約2万円、本人の年金収入が211万円以上なら約4.2万円です。

 総務省の「平成23年度家計調査報告」によると、世帯主が60歳以上で無職の夫婦世帯の実収入は約22万円、税等を含む総支出は約27万円で食料費は62,496円です。約5万円の赤字は預貯金で埋めていることになるのですが、単純計算で言っても1人当たりの食費は3.1万円程度になりますから、年金収入が211万円以上なら「余分に払っている」ことになります。

 食費に月3万円使っている人が特養に入って食費負担が2万円だったとしても、「預貯金が保全される」額は年間10万円程度ですから、問題になるほどの額ではありません。

 「報告書」では、続いて「介護を要する高齢者が増加していく中で、特別養護老人ホームは中重度者に重点化を図り、軽度の要介護者を含めた低所得の高齢者の住まいの確保を推進していく」と述べています(一部省略して引用)。

 要介護1・2(厚労省のいう「軽度の要介護者」)の場合、要介護1なら在宅サービスの支給限度額は月額16万5800円ですが、特養の月平均給付額は約21万円、要介護2なら在宅19万4800円、特養なら約23万円です。この差が、施設入所者は「優遇」されていることになるので入所をさせないということが検討されているのです。しかし、在宅では実際に必要な介護サービスを利用しようとしたら、しばしば支給限度額を超え自己負担せざるをえないのが実情で、とても優遇されているとはいえません。

 また、要介護1・2で特養に入所しているのは一人暮らしが困難(というか事実上不可能)な方、認知症の症状が高度で在宅生活が困難なケースが多いというのが実態です。要介護1・2が特養入所の対象外になれば、事実上の「施設追い出し」と言えます。この点が社会的に問題になり、厚労省も再検討を余儀なくされていると報道されています。

 引き続き、問題点を指摘し、大きな声を上げていく必要があります。


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