(第615回 11月29日 )
APHCO(アジア・太平洋地域保健協同組合協議会)総会の後、ネパールに行きました。「飛来峰」第613回(11月22日)の続きです。
10月16日(水)午前8時にカトマンズのホテルを出発、車で約25分のキルティプルにあるBIKALPA(ビカルパ)協同組合を訪問しました。1999年に45人の住民で設立した医療生協でしたが、1200人を超えるようになったそうです。設立当時は、WHO(世界保健機関)の提唱する4・8世界保健デーに連帯した大掛かりなヘルスキャンプ(地域での検診)が行われました。
女性の役割を重視する取り組みを行い、家計における女性のリーダーシップを重視しており、女性組合員を増やす努力をしています。一時期は診療所を作り活動の幅を広げていましたが、周囲の診療所が増えたこともあり、経営的な問題から現在は閉鎖されています。
無医地区に診療所をつくったが、都市化の波の中で医療機関が増え閉鎖のやむなきにいたったということでしょうか。
日本のような医療保険制度はありませんから、マイクロインシュアランス(小規模保険制度)を利用します。日本では全国民が医療保険制度に加入しますから、必要な医療が提供できます(保険料が払えない、何でも保険が効くわけではないという限界はありますが)。
しかし、貧困層の多いネパールでは、ごく少額の保険料で、限定的ではあっても医療サービスが提供される、という制度が現実的なものということになります。風邪をひいたら風邪薬は提供できる、高血圧があれば血圧を下げる薬は提供できる、という制度があれば、全額自己負担よりマシということになります。
こういった仕組みがビカルパ生協にはあり、現在1762人が加入しています。
日本の取りくみに学び、医療保険制度の仕組み(払った保険料をプールして、病気になった時に利用する)、病気を予防する健康教育、検診などの重要性を大事にしています。
こういった取り組みを地道に続け、職員も1人から5人に増えたそうです。
ネパールでも、高齢化社会、経済的な発展とともにいわゆる生活習慣病の増加が問題になっています。認知症も増加し病院の受け入れが困難になった、検診を受けたら7つ以上の疾病が見つかった、など日本と変わらない現状が浮かび上がりました。
地域の中で女性の活躍が目立つ、女性の方が協同組合への参加の意識が高い、など女性重視の協同組合であることが語られました。
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ヒマラヤのトレッキングは世界的なブームです。ホテルも整備されました。朝食時間は5時開始です |
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ヨーロッパからの客が増えた影響でしょうか、食事も少し洗練されたようです。水事情がよろしくないので生ものは厳禁です |
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地域住民の洗濯場は相変わらずですが、ごみは随分減ってきたように思います。 |
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ビカルパ生協が使用しているビルの前でごあいさつ |
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左から、堀内医師、私、髙橋医師、アソバンサリ会長 |
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ビカルパ生協の理事 |
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