あなたにもあげたい 笑顔 健康

TOPヘ

香川医療生活協同組合

「社会保障制度改革国民会議報告書」の問題点

(第614回 11月26日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、「税と社会保障の一体改革は国のかたちをどのように変えるか」を連載しています。2013年9月15日号(1611号)に掲載した、第16回 「社会保障制度改革国民会議報告書を読み解く(その1)」、を転載します。一部修正しています。

 社会保障制度改革推進法により設置された「社会保障制度改革国民会議」が2013年8月6日「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」を総理大臣に提出しました。今回から、この内容と、その都度明らかになる具体的な内容について触れていきたいと思います。

 日本の社会保障制度について、「国民の生活は、自らが働いて自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという『自助』を基本としながら、高齢や疾病・介護を始めとする生活上のリスクに対しては、社会連帯の精神に基づき、共同してリスクに備える仕組みである『共助』が自助を支え、自助や共助では対応できない困窮などの状況については、受給要件を定めた上で必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などの『公助』が補完する仕組みとするものである」と述べています。

 個人の生活の中で「自らの健康は自ら維持する」というのは当たり前のことです。しかし、毎日朝早くから遅くまで仕事をしなければ生活が成り立たない人に、「運動不足はよくない」と疾病を自己の責任で済ますわけにはいきません。埃っぽい環境で仕事をしている人に「マスクをすればよい」と自己の責任で済ますのではなく、労働環境を改善することの方が大事です。疾病と労働には常に大きな関係があるのです。

 「『自助』を基本としながら」ではないのです。

 「高齢や疾病・介護を始めとする生活上のリスクに対」する「共同してリスクに備える仕組み」とは、「共済制度」のことです。「社会保障」の考え方とは異なるのです。

 「自助や共助では対応できない困窮などの状況については、受給要件を定めた上で必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などの『公助』が補完する仕組み」が社会保障であるというのですが、これは大きな誤りです。

 社会保障とは日本国憲法25条には、こう書いてあります。

 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 すべての国民は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」をもっています。国は「社会福祉、社会保障」に責任を持たなければいけないのです。

 国が責任を持って行う社会福祉・社会保障に対して、さらに充実した制度のするために「共済」制度が存在するのです。

 こういった批判が多いことを気にしたのでしょうか、「社会保障制度改革国民会議報告書」では、「国の責務としての最低限度の生活保障を行う公的扶助等の『公助』は自助・共助を補完するという位置づけとなる」とこれまでの表現に追記した形となっています。

 次回からもう少し詳しく見ていきたいと思います。


関連項目へ 矢印 "飛来峰"バックナンバー

TOPへ 香川医療生活協同組合
フッターのライン