(第608回 11月01日 )
10月13日に開催された第9回APHCO(アジア・太平洋地域保健協同組合協議会)総会の報告(第606回:10/22付)の続きです。
総会では、加盟国からの報告、カントリーリポートがあります。
スリランカから参加した、ゴール生協病院のA.P.G.Sarathchandraさんがスリランカの医療の現状について報告しました。カッコ内は私の補足です。
(スリランカは医療と教育が無償で提供される国ですが)公的な病院では待ち時間が長く、冠動脈バイパス術を受けるのに、1~2年待ちになるが、私的な病院で受けると(公的保険制度がないため)、医療費が高くて困る。第3セクターとしての協同組合の役割がここにあるといえる。
医療が営利化されている実態が、マレーシアのKDM(KOPERASI DOKTOR MALAYSIA:マレーシア医師協同組合)からもありました。
日本からの報告に対して様々な意見や提案が出ました。
・TPPの問題では、薬剤の価格が上昇し必要な医療が行えなくなる。この問題を国際的な連帯の中で解決できないか
・日本における憲法9条を守る活動について、このスタンスを総会として支持するという決議をあげてはどうか
私は、以下のような内容で発言しました。
・憲法9条を支持したいという提案については、私も同感です。日本が憲法9条を守ることは重要である、それは世界の人々の望んでいることであることであることを確認したいと思います。
・TPPについて追加したいと思います。日本の医療団体は、日本医師会を始め、多くの医療団体がTPPについて反対しています。日本の保険制度が事実上解体されてしまう危険があるからです。カントリーリポートにもありましたが、医療の営利化に進むことが一番問題だと思います。
・薬剤の価格についても、日本では公定価格がありますが、これが高い価格で維持されてしまう。そのため、結果として保険財政を圧迫してしまう、という問題があります。TPP反対という意見を交流していきたいと思います。
・アベノミクスについての質問がありましたが、多くの国民は、大企業だけが利益を増やしており、自分たちの生活が向上するという実感を持っていないというのが実際です。
と回答しました。海外に行くと、必ず「**についてどう思うか」と、自分の考え、意見を求められます。日本国内なら「難しい問題です」などと、あいまいに答えても許されますが、そうはいきません。
総会の最後に閉会挨拶を行いました。大要を紹介します。
「熱心なご意見ありがとうございます。本総会の成功のために準備していただいたKDMのみなさんに感謝申し上げます。カントリーリポートをお聞きして、どの国でも、医療の営利化、貧困に対する対策が問題になっており、協同組合が果たす役割が大変大きいと感じました。年に1回だけの交流では不十分だというご意見がありましたので検討したいと思います。すべての国から理事をというご提案については、次回理事会に、理事を出していない国にもオブザーバー参加を呼び掛けるという形で進めてい行きたいと思います。最後に、日本の憲法9条を守る運動が、非常に大事であり、それはアジアの協同組合のみなさんの共通の願いであることが確認されました」。
※スリランカの医療事情については、以下のアドレスを参照してください。
http://www2.aia.pref.aichi.jp/koryu/j/kyouzai/PDF/H21/
Sri_Lanka.pdf#search='%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AB+
%E6%95%99%E8%82%B2+%E5%8C%BB%E7%99%82+%E7%84%A1%E5%84%9F'
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM200505-01.pdf
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会場となった、クアラルンプール市内の、ホテル・アルマダ・ぺタリンジャヤの全景です |
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会場の2階に和食レストラン「SHOKUDOU」があります。メニューは、サケの刺身(30リンギットなので約850円)、 カリフォルニア巻(18リンギットなので約500円) |
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マレーシアからの発言。TPPについ てどう考えるか、アベノミクスについては?、など。回答は本文を参照してください。 |
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憲法9条を守る活動は大事だ。憲法9条の英訳を送ってほしい、全組合員に配りたい、という発言がありました。帰国後速やかに英文を送付しました。 |
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