(第603回 10月8日 )
10月1日安倍総理が官邸で行った記者会見の続きです。「実効税率が国際的に高い水準にある我が国の法人税、我が国の持続的な成長に向けて、国際競争に打ち勝ち、世界から日本に投資を呼び込むためには、法人税について真剣に検討を進めねばなりません」と述べ、法人税減税をすすめることを宣言しました。
しかし、そもそも法人税を払っている企業は3割弱です。法人税減税を行っても、首相のいう「賃金を上昇させ、雇用を拡大する。まさに未来への投資」にはなりません。
これまで、法人税減税を何度か行ってきましたが、その恩恵にあずかってきた大企業の賃金は上がりませんでした。
「実効税率が国際的に高い水準にある」というのは事実ではありません。さらに、大企業の法人税負担は中小企業より軽い、という特徴があります。大企業には、申告所得を小さくするための「受取配当金不算入」「外国子会社配当益金不算入」「減価償却費の租税特別法の特例損金算入」「連結納税制度」などがあります。また、税額控除として「所得税額控除」「外国全額控除」「試験研究費の全額控除」などがあります。その結果、2010年度の基本税率30%に対して、資本金別にみると、下記のようになります。
資本金10億円以上と連結法人 19.6%
資本金1億円以上~10億円未満 27.6%
資本金1億円未満 25.5%
2012年5月11日、共同通信は「大手銀行が法人税納付へ 13年3月期」と題する記事を配信しました。
「三井住友は15年ぶり、りそなホールディングスは18年ぶりの納税再開となる」「大手銀行は、バブル崩壊後の不良債権処理で巨額の損失(欠損金)を計上。法人税額は、この欠損金を繰り越し、利益と相殺して計算できるため、長期間にわたって納税しない状態が続いていた」と報じています。三菱UFJ、みずほも15年以上払っていませんでした。数千億円近い剰余を出しても法人税はゼロというのが、実態なのです。
とすれば、やはり税金は取るべきところから取る、払える企業はきちんと払うのがスジというものです。首相自身も「消費は落ち込み、日本経済はデフレと景気低迷の深い谷へと逆戻りしてしまうのではないか」と心配し、経済対策が必要と考えるのなら、そもそも消費税増税をやめるのが、もっとも効果的な経済対策になると思います。
来年4月からの消費税増税は、中止すべきです。
※下記のHPを参照ください
http://www.zsk.ne.jp/zeikei603/ronbun.html
http://www.sasaki-kensho.jp/hunsenki/120523-000000.html
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