(第601回 10月1日 )
マスコミ報道では、来年4月からの消費税増税が既定の事実であるような論調が目立ちます。しかし、9月27日にニューヨークで行われた記者会見で、安倍首相は「消費税(引き上げ)は10月初旬に経済指標を確認し、経済情勢を見極めて最終判断する。成長軌道を維持し活力を取り戻すために十分な対応策が必要だ。政府・与党で連携し、最善の方策となるようしっかり対応する」(時事通信ニュース)と述べています。
9月27日付(第600回※)で書いたように、この間安倍政権は、国会を開催し国民の前で所信を述べるなど、必要な議論を避けてきました。この記者会見の内容が真実なら、速やかに国会を開催し議論を行うべきです。
そもそも消費税増税は、「社会保障改革」の議論とセットになって浮上したものです。ですから、百歩譲ったとしても、消費税増税と共に社会保障が改善しなければいけません。
しかし、8月1日からは生活保護の基準の引き下げが行われました。生活保護予算の削減額は今年度で150億円。3年間かけて670億円(6.5%)を予定しています。今年度は、年末に支給する期末一時金も70億円削減します。今回削減対象となった生活扶助費は、食費、光熱費、衣類などにあてられる生活費そのものです。明らかな改悪なのです。
さらに、国民生活の最低ラインを示す生活保護基準は、低所得世帯に対する施策の指標となります。就学援助(156万人が利用)や保育料減免に影響します。 また、最低賃金にも連動しますから労働条件の改悪に繋がります。
8月6日の「社会保障制度改革国民会議 報告書」によれば、介護保険分野では、以下のように述べられています。
「利用者負担等の見直しが必要である。……一定以上の所得のある利用者負担は、引き上げるべきである」
「施設入所の場合には、……利用者負担となる居住費や食費について補足給付により助成を受けることとなっている。……世代内の公平の確保の観点から、補足給付に当たっては資産(ストック)も勘案すべきである」(注:土地・建物・貯金などの財産があればそれを取り上げる、という意味)
「低所得と認定する所得や世帯のとらえ方について、遺族年金等の非課税年金や世帯分離された配偶者の所得等を勘案する」
「特別養護老人ホームは中重度者に重点化を図り、」(注:要介護3以上に制限することが検討されている)
生活保護、介護保険でみてみても、明らかに、社会保障が改善することはありません。だとしたら、来年4月からの消費税増税は中止すべきです。
(この項、つづく)
※いつのまにか、600回になっていました。アップしてから気づきました(笑)。そのため、「祝600回!」というタイトルを書き忘れてしまいました。
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