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香川医療生活協同組合

介護保険制度はどうなるか(その2)

(第588回 7月30日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、「税と社会保障の一体改革は国のかたちをどのように変えるか」を連載しています。2013年7月21日号(1605号)に掲載した、第14回 介護保険制度はどうなるか――社会保障制度改革推進法案を読み解く(その9)、を転載します。一部修正しています。

 7月19日付本欄(第587回)に続き、介護保険制度の改悪について触れます。一部内容が重複します。

 いま問題になっているのは、70歳から74歳の現役並み所得の医療費は自己負担が3割ですが、介護保険に移行すると利用者負担が1割になるということです。ここに「全体の整合性を確保」すべきというのです。

 そこで、問題になるのが、70歳から74歳の医療費負担です。一般所得の場合、法律では2割ですが、後期高齢者医療制度の評判があまりに悪かったため福田内閣時代に「当面1割」とし、その後の内閣もこの特別措置を延長し続くてきました。現在は2014年3月までの措置ですが、これを法律通りにしようというのが狙いです。ここを2割にできたら、介護保険の利用料も2割負担にしやすくなるということです。しかし、この措置に必要な国の負担は2000億円程度ですから、まさに無駄を削れば簡単に出てくる額ですから、論外ということになります。

 現在介護保険の利用者と給付費は、要介護3~5が193万人で4.7兆円、要介護1~2が180万人で2.1兆円、要支援が133万人で0.4兆円です。さらに、施設サービスを受けている方のうち要支援から要介護2までの方が17%を占めています。この要介護2以下の方を「軽度」と呼び、介護保険サービスから切り捨てようということが検討されています。

 まず、在宅でのサービスでいうと「軽度の高齢者は、見守り・配食等の生活支援が中心であり、要支援者の介護給付費を適正化すべき」(前回もいいましたが、「適正化」とは切り捨てるという意味です)、「具体的には、保険給付から地域包括ケア計画と一体になった事業に移行し、ボランティア、NPOなどを活用し柔軟・効率的に実施すべき」としています(国民会議の議論)。

 この背景には、通所介護費用が増加していることがあげられています。

 しかし、実態は一人暮らし、軽い認知症の方などが、デイサービスの利用により何とか在宅での生活を維持しているのが実態なのです。一人暮らしの通院患者の服装が、いつも同じ服を着ている、シャツを何枚も重ね着している、身に付ける衣服の順番がおかしい、季節に合わない(夏なのに冬服、あるいはその逆)など、明らかに認知症の初期と思える場合があります。

 こんなときにデイサービスに誘い、入浴させるなど生活の自立に向けた援助を行うことにより、何とか自宅で生活できるような援助を行うことがあります。「デイサービスは、重度予防に効果のある給付への重点化が課題」としていますが、先に述べたような現場の努力は、数値化できるものではありません。元から自分で歩いて医療機関に来るのですから、「効果」の数値化などできないのです。

 介護保険の改悪は、参院選後に本格化します。注視して問題点を指摘していきたいと思います。


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