地方政治新聞「民主香川」に、「税と社会保障の一体改革は国のかたちをどのように変えるか」を連載しています。2013年5月19日号(1599号)に掲載した、第12回 医療保険制度はどうなるか(4)――社会保障制度改革推進法案を読み解く(その7)、を転載します。一部修正しています。
社会保障制度改革推進法案の第6条第四項は「今後の高齢者医療制度については、状況等を踏まえ、必要に応じて、第九条に規定する社会保障制度改革国民会議において検討し、結論を得ること」とされています。
2013年4月22日に開催された、第10回社会保障制度改革国民会議に提出された、これまでの社会保障制度改革国民会議における議論の整理(医療・介護分野)(案)の、高齢者医療制度の在り方の項には「高齢者医療制度の在り方は、地域保険の在り方・再編成と並行して議論すべき」と記載されています。具体的には、「医療保険制度の財政基盤の安定化・保険料に係る国民の負担に関わる公平の確保」の項に方針がでています。いくつかあげておくと、
○ 後期高齢者支援金の全面報酬割と国保の都道府県化、更には所得の高い被保険者からなる国保組合への定率補助の廃止を一体的に実現すれば、被用者保険者間のみならず市町村間の保険料負担の格差の是正を図ることができることになり、保険制度を通じて「保険料負担に係る国民の負担に関する公平の確保」との『社会保障制度改革推進法』の趣旨を実現でき、消費税率引上げのタイミングにふさわしい内容の改革となる。
○ 医療提供体制改革の実効性を高めるためには、医療計画の策定者である都道府県を国保の保険者とすることにより、保険者機能を通じた受益と負担の牽制を働かせることが効果的。
要するに、市町村単位の国保を都道府県単位に変更し、都道府県が管理できるようにし、高すぎる国保料負担を軽減するために市町村が行っている一般財源からの投入をやめさせようというものです。
国民みんなが消費税で負担すれば、「公平の確保」になるというものです。
○ 国保の広域化に当たっては、医療費適正化や保険料徴収に対する地域の取組を反映させる仕組みを検討する必要がある。
○国民健康保険の保険者を都道府県とするべき。その際には、保険料徴収・保健事業等引き続き市町村が担うことが適切な業務が存在することから、都道府県と市町村が適切に役割分担する仕組みとすることが必要。
保険料は都道府県で決めるが、保険料の徴収は市町村でという訳です。
なお、この会議では「医療保険における療養の範囲の適正化等」の項で、
○ 中高所得層高齢者の本人負担の引き上げ、給付範囲の見直し・効率化を図るべき。
○70-74歳の医療費自己負担は法律では2割であるのに、確たる理由もなく暫定的に1割のまま。
○70-74歳の窓口負担について、本則を適用すべき。
70歳から74歳の方の窓口負担を1割から2割に2倍に引き上げることが提案されていることにも注意が必要です。