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香川医療生活協同組合

生活保護法「改悪」に反対します

(第579回 6月7日 )

 6月4日、生活保護法の改正案と生活困窮者自立支援法案が、衆議院本会議で自民、公明、民主、維新、みんな、生活各党の賛成多数で可決されました(共産、社民は反対)。参議院での審議が終わっていないので決定された訳ではないのですが、問題点は大きいと感じています。

 そもそも今回の改正案の目的は、「生活保護の不正受給の罰則を強化することなどを盛り込んだ生活保護法の改正案」(NHK)と表現されるように、昨年初めからの生活保護バッシングに始まり、税と社会保障の一体改革の中心的な法案である、「社会保障制度改革推進法案」の、附則2条の「生活保護制度の見直し」に記されたものです。

     
  • 政府は、生活保護制度に関し、次に掲げる措置その他必要な見直しを行うものとする。
  •  
  • 不正な手段により保護を受けた者等への厳格な対処、生活扶助、医療扶助等の給付水準の適正化、保護を受けている世帯に属する者の就労の促進その他の必要な見直しを早急に行うこと。(以下、略)

 確かに制度の不備を利用して不正が存在するのは事実です。しかし、その実態をマスコミは「件数、不正受給額ともに過去最多となった」と報道しますが、、生活保護費全体に占める割合は額でいうと0.5%程度ですから、法に基づき適切な処理を行えば済む程度であることは明らかです。

 この間、全日本民医連の提起を受け、生活保護受給者に対する聞き取りを行ったり、日常診療の中で可能な限り生活実態を聞き出す活動を行っていますが生活保護世帯の実態は大変なものであることがよくわかります。

 2011年7月12日に開催された、第4回社会保障審議会生活保護基準部会に提出された「生活保護受給者の自殺者数について」という資料によれば、生活保護受給者の自殺率(カッコ内は全国平均)は、2008年で、被保護人員10万対54.8(25.3)、2009年62.4(25.8)、2010年55.7(24.9)となっており、全国平均の自殺率よりも高いという特徴があります。

 その原因として「生活保護受給者には、自殺の大きな要因と考えられている精神疾患(うつ病、統合失調症、依存症)を有する者の割合が全国平均よりも高いことが考えられる」としています。

 生活保護を申請する際、これまでは口頭申請できましたが、今回の法案では、書類提出を義務付け、窓口で申請を拒否することが合法とされます。また、扶養義務者に対する調査権限を強化し、本来は保護開始の要件でない扶養義務の履行を強いることで、結果として申請を抑える内容になっています。「特段の事情があればこの限りではない」というただし書きがついているといっても、法律が決定されたら、本文が中心に行政が動くわけで、「ただし書き」が判断基準になる訳ではありません。

 生活保護法「改悪」は参院で廃案にすべきです。


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