(第558回 2月26日 )
2月23日未明(日本時間)、日米首脳会談を踏まえてTPP(環太平洋経済連携協定)に関する日米の共同声明を発表しました。安倍首相は会談後の記者会見で「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」「なるべく早い段階で決断したい」とTPP交渉参加に踏み出す考えを明言しました。
帰国後25日に開かれた自民党役員会で、日米首脳会談の内容を報告し、「私にお任せください」と述べ、交渉参加の判断に関する一任を求めて了承されたと報じられています。
しかし、日米共同宣言を冷静によく読むと、主語は「両政府は」でTPP参加国の合意事項ではなく、日米2国の共通認識にすぎません。TPPへの日本の参加について、「二国間協議を継続する」とあります。日米共同宣言は、TPP加盟国との合意事項ではなく、2国間の合意事項なのです。
さらにTPP交渉に参加する場合は「全ての物品が交渉の対象にされる」と、あらかじめ例外となる品目がないことを明確にしています。
日米両首脳により「確認」されたことは、「2011年11月12日にTPP首脳によって表明された『TPPの輪郭(アウトライン)』において示された包括的で高い水準の協定を達成していくこと」です。「TPPの輪郭」の重要な特徴の1番目には「包括的な市場アクセス」として、「関税並びに物品・サービスの貿易及び投資に対するその他の障壁を撤廃する」と書いてあります。
TPP交渉の中で「例外」を主張することは日米首脳間では可能だと言っているにすぎません。TPPとは多国間交渉です。他の国が何というかはともかく、「言うのは自由です」ということを確認したというのが、今回の共同宣言の重要なポイントなのです。
「会談で聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」などという安倍首相の発言は、何が何でもTPPに参加するために国民を煙に巻く手口に過ぎません。
さらに、共同宣言では「保険部門」などに「残された懸案事項に対処」と、医療保険制度を始めとする日本の法的な制度などの、「非関税障壁」について「TPPの高い水準を満たす」ことについて作業をすすめると確認されています。
日本の誇る、世界に冠たる「国民皆保険制度」を守るためにも、TPPへの参加は絶対に容認できません。
※以下のHPを参照ください
1.日米共同声明
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_abe2/vti_1302/pdfs/1302_us_01.pdf
2. 環太平洋パートナーシップ(TPP)の輪郭
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/pdfs/tpp01_07.pdf
|