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香川医療生活協同組合

生活保護制度を考える(3)-生活保護基準の引き下げは憲法25条の理念に反するものです

(第555回 2月5日 )

 日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)が発行する医療福祉生協情報誌comcomの 2012 年12月号のコラム「社会派 しんさつ室」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。

 このコラムの連載は今号をもって終了となりました。振り返れば、日本生協連医療部会時代に始まり、2006年9月から2010年3月まで「虹のネットワーク」に43回連載、2010年4月からはcomcomにお引越しをして2012年12月まで33回にわたり連載されました。合計76回になります。コラムのタイトルが気に入っているので、早くお引越し先を見つけたいと思っています(笑)。

厚生労働省は2012年10月24日、7月の生活保護受給者が212万人、155万世帯になり過去最高になったと発表しました。一方、財務相の諮問機関である財政制度等審議会は10月22日、生活保護の支給額について引き下げが必要との見解を示しました。

 マスコミによる生活保護バッシングが続いています。もちろん不正受給は正されるべきですが、不正の発生件数は1.5%前後、額でいえば0.3%台で、生活保護制度全体が不正の温床になっている訳ではありません。

 住民税には所得に応じて決まる「所得割」と、所得に関わらず決まる「均等割」があります。この「均等割」は生活保護基準の級地区分により3区分されています。この額により住民税の非課税限度額が設定されます。

 生活保護基準が下がればこの非課税限度額が下がり、さまざまな制度に影響します。住民税の非課税限度額が下がると、今まで非課税だった方が課税されます。インフルエンザの予防接種の無料制度など医療・福祉にかかわる多くの制度で、住民税非課税が負担軽減の基準になっていますから、多くの場面で負担が強化されることになります。

 介護保険料、保育料、一部の自治体での国民健康保険料の減免などで直接的に影響がでます。例えば、高額療養費制度における自己負担の月額限度額(注)は、上位所得者、一般、低所得者に分けられますが、「低所得者」の定義は住民税非課税です。

 生活保護基準に基づいて利用条件を定めている施策が利用できなくなることもあります。全国的に行われるものとしては、介護保険利用料や保険料の減額、障害者自立支援利用料の減額、生活支援資金の貸付、就学援助金などです。自治体によりますが、国民健康保険料の減免、公立高校授業料の減免、公営住宅家賃の減免制度もあります。

 生活保護制度の問題は、すべての国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するものだという認識が重要だと思います。

 注:医療の場合、所得区分毎に外来単独、入院合算それぞれに「負担の上限額」が規定されています。また、世帯毎や介護費用の合算など、さらに細かい規定があります。


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