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香川医療生活協同組合

社会保障の役割を考える

(第546回 12月21日 )

 地方政治新聞「民主香川」に、「税と社会保障の一体改革は国のかたちをどのように変えるか」を連載しています。2012年10月21日号(1578号)に掲載した、第5回 を転載します。

 民主党は、2001年4月に、第19回参議院議員通常選挙政策「すべての人に公正であるために」を発表します。その「第3の柱―社会保障改革」は、年金を充実して医療・介護をみんなで分かち合う社会保障制度をつくります、と題し以下のように述べます。

 「年金・医療・介護など社会保障に対する不安は、将来不安の中心であり政治不信の大きな原因」「年金や生活保護その他の低所得者対策などの所得保障を国の責任でしっかり行い」「医療は都道府県、介護等は市町村と、より身近な地域に分権化し、保険料・一部自己負担などは国民みんなで分かち合う総合的な社会保障制度を確立」

 実は、これには元になる文書があります。

 1997年1月に経済同友会は「市場主義宣言 ―21 世紀へのアクション・プログラム―」を公表し、社会保障制度について以下のように述べます。

 「公的保障の役割をナショナル・ミニマムに限定し、社会保障の分野にも市場原理を導入する。財源としての税と社会保険の役割分担を明確にしつつ、年金・医療・介護制度を総合的に改革する。公的年金はナショナル・ミニマムを保障し、財源は税とする。医療保険は将来的には地域保険化する。介護は税を財源としてバウチャーで支給、在宅・施設を問わず民間活力を導入する」

 以下、経済同友会の宣言を『』、民主党の政策を「」で示し、私のコメントを()内に示します。

 『公的保障の役割をナショナル・ミニマムに限定』→「低所得者対策などの所得保障を国の責任で」(ミニマムに限定するので所得が低い場合のみ対応)

 『医療保険は将来的には地域保険化する』→「医療は都道府県、介護等は市町村と、より身近な地域に分権化」(市町村と言っても合併による広域化で、実質は都道府県に近くなる。結局、道州制が最終目標)

 『介護は税を財源として』→「保険料・一部自己負担などは国民みんなで分かち合う」(経済同友会が言う税とは消費税のこと。だから国民みんなで分かち合う)

 表現に多少の相違はあるものの、基本的な考え方は全く同一です。

 もう一点、医療の問題点をどう見ていたのでしょうか。

 選挙政策では「老人医療に、ムダづかいチェック体制を組み込みます」と題し、「老人保健制度」は、「薬漬け・検査漬けに加えて、社会的入院の温床となっています」「高齢者にも保険料負担と利用時の定率1割負担を求めることで、コスト意識に基づく患者本人によるチェックも促します」とあります。

 後期高齢者制度を廃止すると公約して政権を取り、政権についた途端に公約を投げ捨てた背景がここにあります。


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