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香川医療生活協同組合

ネパール訪問記のまとめ

(第529回 10月9日 )

 日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)が発行する医療福祉生協情報誌comcomの 2012 年10月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.31」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。内容的には、5回にわたり連載した「ネパール訪問記」と重なります。

 8月初めに、ネパールの医療事情の視察に行ってきました。日本生協連医療部会時代から、ネパールには医系学生の医療スタディツアーを行ってきました。今回の訪問の目的は、スタディツアーのありかたの検討と、フェクト・ネパール(以下、フェクトと略)が建設中の新病院と医科大学の進展状況を確認し、日本からの協力のありかたを検討することです。

 フェクトは、医療保険制度がなく貧困・衛生環境などさまざまな社会的な問題を抱えるネパールで、住民の健康を守るために1991年に設立された非営利のNPO法人です。日本とは法的な違いがあり、「生協」ではありませんが、平等の原則、社会正義、住民参加、自主性に基づく医療システムをめざす組織で、これまでさまざまな形で交流を持ってきました。

 2000年に開催された「ジャンプ2000大阪・虹のつどい」で、「ネパールに医療生協の病院をつくろう」と募金を呼びかけ、3500万円を超える募金が寄せられ、ネパール側の事情からフェクトのカトマンズ・モデル病院の建設に役立てた経緯があります。

 ネパールでは年間1000人の医師養成が行われますが、60%以上が国外に行き、国内に残る医師も大半が首都カトマンズで仕事しているため、農村・山村では医療事情が極端に悪くなっています。

 ネパールに残り、地方で働く医師養成を行うために大学を設立したいというのが、今回の新病院建設の目的です。モデル病院の125床に合わせ、新病院で175床の病院を建設し、合計300床で実習病院を作り大学開設の認可を受け、フェクトの看護師養成も充実させる予定です。

 4月に事前調査を行った報告では実現性に疑問がもたれていましたが、4カ月の間に建設は随分進んでいました。入院患者や医療スタッフの確保などをどうやって行うのか気になる点もありますが、シャトルバスを運行し通院の足を確保する、ネパールでは少ない形成外科の入院医療に力を入れるなど、具体的な計画も聞くことができました。

 住民の医療を確保するために働く医師・看護師をどう養成するか、自分たちの力でそれをどう実現するか、ネパールの医師たちの「熱い想い」に触れた暑い夏でした。

 注:2010年度ネパール医療スタディツアーの詳細は下記のHPを参照してください。

 http://www.hew.coop/2011/05/4857.html


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