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香川医療生活協同組合

国保の広域化に伴う国保料・税の引き上げを行うべきではありません

(第488回 3月9日 )

 日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)が発行する医療福祉生協情報誌comcomの 2012 年3月号のコラム「社会派 しんさつ室 No.24」に掲載された文章を転載します。一部修正しています。

 自治体の2012年度予算編成の中で、国保税の引き上げ提案が目立ちます。

 引き上げが実施されたら、モデル世帯(注)の場合の年間保険料は香川県高松市で約8.5万円引き上げられ50万2700円(20%増)、善通寺市で約6万円の引き上げで53万2700円(13%増)円と、大幅な引き上げになります。

 無料低額診療事業を行っている高松平和病院(香川医療生協)の報告でも、「保険料を払ったら、医療費の自己負担分が払えない」という声が増えています。

 そもそも国民保険制度は、協会けんぽ(旧:政府管掌健康保険)や大手企業などの組合健康保険に比べて脆弱な制度です。国保加入者は、他の保険に比べ、20才近く高齢化が進み病気にかかる人が多く、高齢者加入率が約5倍、収入は他の保険の半分しかないという特徴があります。

 国保財政への国庫負担は、かつては60%近くありましたが、法の改悪により25%弱に減らされてきました。そのため、一般財源からの投入により国保財政を維持しています。

 しかし、2006年に成立した「医療改革関連法」の中で、保険制度の都道府県単位への一本化が進められ、2010年5月には「広域化等支援方針の策定について」という通達により、厚労省は都道府県知事宛に「一般会計繰り入れによる赤字の補てんを解消するために保険料の引き上げ等を行う」ことを指示しました。

 今回の国保税の引き上げの背景には「国保の広域化」の方針があります。いずれ一本化するために、一般財源からの投入を段階的に減らしていくのが目的です。

 さらに2013年からは、扶養控除や配偶者控除、障がい控除などが考慮されない方式に統一されるため、扶養家族が多かったり、障がい控除を受けている場合は保険料が跳ね上がるという問題もあります。

 国保の問題は、生きる権利、健康で文化的な生活が保障される権利にも直結します。憲法25条を旗印にして、運動を強めていく必要があります。

 注:夫45歳・妻42歳で専業主婦・子ども2人、給与収入が450万円、税等を除く所得は306万円。

 ※学習活動には、虹のブックレットNo96「誰もが安心できる国民健康保険制度をめざして」を参考にしてください。


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