(第481回 2月7日 )
香川県保険医協会報 2012年1月20日号(No.333)の「主張」欄に掲載した文章を転載します。一部修正しています。
2012 年度の診療報酬と介護報酬の同時改定について、12月21日に、厚労相と財務相は「引き上げで合意」したと報道されました。しかし、これは、「見かけ上の引き上げ」であり、いずれも実質引き下げとなる厳しいものです。
診療報酬の改定率については、薬価・材料価格を1.375%引き下げる一方、診療報酬本体を1.379%引き上げ(医科+1.55%、歯科+1.70%、調剤+0.46%)、総枠で0.004%増の改定率と伝えられますが、長期収載医薬品について、薬価改定幅とは別に10%程度(総枠でマイナス0.59%)引き下げられる予定で、合わせるとマイナス0.586%と、事実上の診療報酬引き下げとなります。
また、介護報酬改定率について、1.2%の引き上げとされますが、介護職員処遇改善交付金について、全額国庫負担による負担は中止し介護報酬の中で評価することにしました。そのため、本来2%程度の介護報酬引き上げが必要であったにも関わらず1.2%の引き上げにとどまり、実質マイナス改定になりました。
保団連以外にも、日医・日歯など医療関連40 団体で組織する国民医療推進協議会など、多くの医療団体、医療従事者から、「医療崩壊を阻止するためには、診療報酬引き上げが必要」とされたにも関わらず、実質引き下げになったことについて、厳重に抗議の意思を明らかにするものです。
この間、医療崩壊を防ぐために、大病院を中心に診療報酬上で一定の改善が図られる一方、医科・歯科診療所や有床診療所や中小病院においては、実質的に5回連続の引き下げであり、第一線の地域医療の崩壊につながる可能性もあり、診療報酬の再考を強く求めるものです。
また、介護報酬については、保険料の引き上げ、訪問介護や訪問介護に短時間サービスを導入し細切れサービス中心に誘導、要支援の利用者のサービスは自治体で対応する制度の導入など、高負担・低サービスによる保険利用の制限など、多くの問題点が指摘されています。
安心して医療・介護が受けられる制度の実現を目指し、国庫負担を増やし、診療報酬・介護報酬の大幅引き上げを求めるものです。
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